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こんにちは!中嶌会計事務所です。
今回の大ちゃんニュースは税制改正の流れとふるさと納税の改正についてお伝えします。


◆ 税制改正の流れについて
 4月1日から平成31年度の税制改正を踏まえた新税制が施行となりましたが、そもそも新税制が施行となるまでにはどのような過程があるのでしょうか?

大まかには、下記1.〜4.のような流れとなります。

1.毎年夏頃までに各省庁から「税制改正要望」が提出。
2.12月頃に与党から「税制改正大綱」が発表。
3.2月頃に「税制改正法案」が国会に提出。
4.そして最後に審議・採択等を経て4月から「改正法案」が実際に施行。

では、今年度の税制改正につきまして、個人課税を中心にトピックス性の高いものをご紹介します。

@ 個人所得税
 ・ふるさと納税制度の見直し
 ・住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の特例の創設

A 資産課税
 ・特定事業用宅地等に係る小規模宅地等の特例の見直し
 ・個人事業者の事業用資産に係る納税猶予制度の創設
 ・教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与非課税措置の見直し

B 消費課税
 ・車体課税等の見直し
 ・外国人旅行者向け消費税免税制度の見直し


なかなか盛りだくさんな内容ですね。
今後大ちゃんニュースでもしっかりと取り上げることとして、今回はこの中からふるさと納税制度の見直しについて紹介させて頂きます。

◆ ふるさと納税とは・・?
 聞いたことはあるが実際にはやったことがないという方もおられるのではないでしょうか?
ふるさと納税とは寄附金控除の一種です。寄附金控除は国・地方公共団体等に寄付をすることで一定の金額を寄付をした者の所得から控除する、という制度です。



つまり、ふるさと納税についても寄付金限度額までの寄付を各自治体に行うことで、所得税及び住民税について一定の控除を受けることができ、それに加えて自治体からお礼の品(以下「返礼品」という。)をもらうことができます。

例えば、10,000円の寄付を行うと所得税と住民税が8,000円減少し、さらに自治体から返礼品を受け取ることができます(実質2,000円で返礼品を購入したのと同じ効果が得られます。)
ふるさと納税の適用を受けるためには、原則として所得税の確定申告を行う必要があります。
確定申告書を税務署に提出すると、税務署が納税者の住所地の市役所等に申告情報を提供し、その市役所などが住民税の計算を行います。
その結果、ふるさと納税の効果分の所得税と翌年度分の住民税が減額されるという仕組みです。



また、寄付先の自治体が5団体以下の場合は確定申告を行う必要が無く、ワンストップ特例制度の適用を受けることができます。
ワンストップ特例とは、確定申告を行わずにふるさと納税を行った各自治体のホームページからワンストップ特例申告書を印刷し、その自治体に提出するだけでふるさと納税の税制面の優遇措置を受けることができる制度をいいます。
なお、確定申告を行っていないため、所得税の減額はなく、住民税のみ減額されることとなります。(減額金額は確定申告を行った場合と同じことになります。)



・寄付金限度額はどうやって調べることができるの?
 給与所得のみの方(サラリーマン等)につきましては前年の源泉徴収票を参考に「さとふる」や「ふるさとチョイス」等のふるさと納税サイトホームページから簡単に寄付金限度額の目安を計算する事が出来ます。

・いつまでに寄付を行えばいいの?
 1月1日から12月31日までの間に行った各自治体に対する寄附金の合計額が、寄附金控除の対象となります。

上記の点から、近年注目を集めているふるさと納税の制度ですが、本来の寄付という目的から外れ、各自治体が豪華な返礼品を用意して寄付金を集める競争が激化していました。
このような経緯から、以下の点について改正されることが決定しました。

(1) 総務大臣は以下の基準に適合する都道府県等をふるさと納税の
  対象として指定する。
 (イ)寄付金の募集を適正に実施する都道府県等
 (ロ)(イ)の都道府県等で返礼品を送付する場合には、以下のいず
   れも満たす都道府県等
  イ.返礼品の返礼割合を3割以下とする事。
  ロ.返礼品を地産品とすること。
(2) その他
 (イ)(1)の基準は総務大臣が定める。
 (ロ)指定は都道府県等の申し出により行う。
 (ハ)総務大臣は指定をした都道府県等が基準に適合しなくなった   と認める場合等には、指定を取り消すことができる。
 (ニ)総務大臣は指定をし、又は指定を取り消したときは直ちにその  旨を告示しなければならない。
 (ホ)基準の制定や改廃、指定や指定の取消しについては、地方財政
審議会の意見を聴かなければならない。
 (ヘ)その他所要の措置を講ずる。


 簡単にまとめますと、返礼品を地産品(商品券などはダメ。)とし、返礼割合を3割以下にして下さいという事です。

 ここで問題となるのが、上記の点を満たさないもの(総務大臣の指定が受けられなかったもの)についてはふるさと納税の対象から外れることになります。
つまり、一定の自治体に寄付を行っても、税制面での優遇措置の適用は受けることができず、返礼品を高い価額で購入しただけという事になります。

なお、改正適用時期は令和元年6月1日以後に支出された寄附金について適用されます。

また、今回の改正とは直接関係がありませんが、高額のふるさと納税を行う方(ふるさと納税の返礼品の金額が年間50万円を超える場合)につきましては、所得税(一時所得)が生じるため注意が必要です。
なお、返礼品の金額がわからない場合が多いため、以下のような方法を参考にして下さい。
・ネットショップで似たような商品の値段を調べる。
・寄付金額×返礼率

一時所得として算出された金額の1/2相当額が給与所得等の他の所得の金額と合計されて、所得税が計算されます。
つまり、ふるさと納税の返礼品が50万円を超える場合に所得税の計算に含めていない場合には所得税の課税漏れが発生してしまうため、注意が必要となります。

 いかがだったでしょうか?ふるさと納税の返礼品競争も少し落ち着きそうですね。お得感は少し薄くなりそうですが、まだふるさと納税をやったことがない方は是非チャレンジしてみてくださいね。
ふるさと納税のための確定申告のご要望がありましたら、中嶌会計までご連絡をお待ちしております!

<参考URL>
【ふるさとチョイス】
https://www.furusato-tax.jp/
【さとふる】
https://www.satofull.jp/

こんにちは!中嶌会計事務所です。今年も早いもので、12月となりました。
なにかと忙しい年末、もうすぐ寒波もやってくるようです。
体調管理をしっかりと行い、気持ちよく年を越す準備をしておきましょう。
 今月の大ちゃんニュースのテーマはタイムリーな話題となりますが、『年末調整の注意点(配偶者控除等申告書の様式変更について)』となります。

◆ 今年の年末調整の注意点
 まず、今年は配偶者控除等の改正に伴って下記の3点に注意が必要となります。
・「保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書」が「保険料控除申告書」と「配偶者控除等申告書」の2枚に分かれました。
・配偶者控除の適用を受けるにあたっては、「配偶者控除等申告書」の提出が必要となります。(配偶者がいる場合には必ず提出しましょう。)
・新しくなった「配偶者控除等申告書」には給与所得者本人とその配偶者の所得の見積額と、所得の区分判定を記載します。
では、上記の注意点についてもう少し詳細を確認していきましょう。

◆ 「保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書」が「保険料控除申告書」と「配偶者控除等申告書」の2枚に
 様式の変更に伴い、従来の「配偶者特別控除申告書」が廃止となり、新たに「配偶者控除等申告書」が設けられ、配偶者控除・配偶者特別控除額を算出できる様式に変更となりました。図解で説明するのであれば下図のようなイメージとなります。



◆ 配偶者控除の適用を受けるにあたっては、「配偶者控除等申告書」の提出が必要に
 昨年までは配偶者特別控除を受ける場合にのみ、「配偶者特別控除申告書」の記載が必要でしたが、今年からは配偶者控除又は配偶者特別控除のいずれかを受ける場合には、「配偶者控除等申告書」の記載及び提出が必要となります。

◆ 新しくなった「配偶者控除等申告書」には給与所得者本人とその配偶者の所得の見積額と、所得の区分判定を記載
 ここでは実際の「配偶者控除等申告書」の様式を使って、書き方やポイントを説明していきましょう。
保険料控除申告書については例年と同様の記載方法となりますので書き方については割愛させて頂きます。



@ あなたの本年中の合計所得金額の見積額について
 ここでは自分自身の本年中の合計所得金額の見積額を記載します。その際、B(合計所得金額の見積額の計算欄)の左側の欄を使用し、合計所得金額の見積額を計算してください。
注意点としては、収入金額と所得金額について理解をしておく必要があります。
収入金額は※1(a欄)に記載しますが、金額としては「源泉徴収票の支払い金額」を記入します。直近の源泉徴収票や給与明細書を参考にして金額を見積もるのが良いでしょう。
また所得金額は※2(c欄)に記載します。所得金額とは収入金額から給与所得控除額を控除した金額をいい、配偶者控除等申告書の裏面「3 所得の区分」の【@給与所得】を参考に計算した金額を記入してください。記入が終わり、合計額の記載ができれば、その金額を@の一番左の欄に転記し、その金額を基に区分を判定しましょう。
ちなみに、所得金額の上限は1,000万円となっており、1,000万円を超える場合はその時点で配偶者控除の適用はありませんので、注意が必要です。

A 配偶者の本年中の合計所得金額の見積額について
 この部分には配偶者の本年中の合計所得金額の見積額を記載します。B(合計所得金額の見積額の計算欄)の右側の欄を使用し、合計所得金額の見積額を計算してください。
記入にあたっては、配偶者の本年中の収入金額が必要となりますので、大まかな金額を事前に確認しておきましょう。
ここでも@と同様に収入金額を(a欄)に、所得金額を(c欄)に記載し、合計額をAへと転記します。また、@と同様に転記した金額を基として所得金額を判定してください。
注意点としては、大きく2点です。
一つ目は配偶者の所得がない場合には収入欄及び所得欄に必ず「0」と記載すること。この記載がければ経理の担当者は記載を忘れているのか、所得がないのかの区別がつかなくなってしまいます。二つ目は所得金額が38万円以下の場合は配偶者の年齢が70歳以上か未満かによって区分が変わることです。この部分については配偶者控除等申告書を慎重に読めば、間違えることはないでしょう。

C 控除額の計算について
 区分の判定ができたら、C欄の控除額の計算欄にて配偶者控除額又は配偶者特別控除額を算出していきます。左側の区分Tがあなたの所得の区分で、上側の区分Uが配偶者の所得の区分で、交差するところが配偶者控除額又は配偶者特別控除額となります。
 例えば、夫の所得が350万円(区分TはA)で配偶者の所得が100万円(区分UはC、95万円超100万円以下)であれば、配偶者特別控除として26万円の控除が受けられることとなります。

D 控除額を記載
 C欄に従って算出した配偶者控除額又は配偶者特別控除額を転記します。

 以上で配偶者控除等申告書の記載は終了となります。

◆最後に
 いかがだったでしょうか?
今年から初めて配偶者控除等申告書が導入され、どのように記載していいかわからなかった方もおられたのではないでしょうか?配偶者控除等申告書の提出がないと、配偶者控除又は配偶者特別控除の適用が受けられなくなるため、年末調整による還付金が少なくなってしまう恐れもありますので、配偶者のおられる方については必ず提出してくださいね。(もちろん、自分で確定申告します。という方については必ずしも提出する必要はありません。)また、配偶者の合計所得金額の見積金額についてはあくまでも見積もりですので、実際には金額が上下するケースがあります。従って、実際の配偶者の源泉徴収票を確認して、見積額が実際の給与所得よりも大きかった場合には確定申告をすることで還付される金額が発生するかもしれませんし、逆に配偶者の所得を少なく見積もっていた場合には扶養是正の対象となり税金を徴収される可能性があります。
 配偶者控除等申告書に限らず、年末調整の資料の記載方法がわからない方、それに付随するご質問のある方は中嶌会計事務所までお気軽にご相談ください!

 こんにちは!中嶌会計事務所です。昨日は台風21号が猛威を振るいましたが、大丈夫だったでしょうか?被災された方々には心からお見舞い申しあげると共に復興に尽力されている皆様には安全に留意されご活躍されることをお祈りいたします。
 今月の大ちゃんニュースのテーマは『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(以下「小宅の特例」という。)の改正』について。の第2弾となります。
前回の記事で小宅の特例の大きな概要については書いておりますので、まだお読みになっておられない方は見て頂くとして、今回は改正論点の2つ目、貸付事業用宅地等について内容を確認していきます。

◆貸付事業用宅地等とは(改正前の要件)
 前回の記事でも少し触れておりますが、貸付事業用宅地等とは下記の要件を満たす宅地等のことをいい、この要件を満たせば対象となる宅地等につき200uを限度として相続税評価額の50%の減額が受けられることとなります。


 改正前の貸付事業用宅地等については相続開始前に地価の高い賃貸不動産を購入して一時的に現金を不動産に転換し、借入を行い資産を圧縮して相続税負担を軽減(債務は相続税の計算をするうえで控除できる。)したうえで、相続税申告後すぐに売却して相続税を軽減する例が多く見受けられたという問題点があり、それが改正の一因となっているようです。

◆改正論点(適用要件の見直し)
 改正により、上記の要件はそのままに相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等が貸付事業用宅地等の範囲から除外される([1]原則)こととなりました。
 ただし、相続開始の日まで3年を超えて事業的規模による貸付事業(準事業以外のものをいう。)を行っていた被相続人が貸付事業の用に供しているものは除外されないこととされます。([2]例外)したがって、既に事業的規模による貸付事業を行っている方は見直しには該当しません。また、経過措置として、平成30年4月1日〜平成33年3月31日までに開始する相続において平成30年3月31日までに貸付を行ったものは相続開始前3年以内の貸付であっても適用対象となります。([3]経過措置)


◆事業的規模とは?
 事業的規模とありますが、具体的にどんなものが事業的規模として認められるのでしょうか?これに関しては所得税法の基本通達を根拠とするようです。


 こんにちは!中嶌会計事務所です。6月になりました。関西も梅雨入りし、すっきりしない天気の日が続いておりますが、今月も頑張って参りましょう!
 さて、今月の大ちゃんニュースのテーマは『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(以下「小宅の特例」という。)の改正』について。
小宅の特例といえば、相続税の課税価格の減額規定として最もメジャーな規定ですが、行き過ぎた節税が多かったというのも事実。
 そういった経緯を経て、平成30年4月1日以後に相続又は贈与により取得する財産に係る相続税について改正がなされることとなりました。

そもそも小宅の特例とは
 個人が死亡した場合、その者が死亡の時点で有していた財産をその時点の価値で評価し、その評価額に対して税率を乗じることで、相続税の計算を行うこととなります。
 その場合、その者が生前に有していた家屋の敷地の用となっていた土地についてももちろん相続税の課税対象となります。
簡単な例を使って説明してみましょう。
 【例】相続税の納付税額を求めてみましょう
・死亡者(甲)
・配偶者はすでに亡くなっている
・相続人は甲と同居している子供一人(A)
・財産は居住用家屋(評価額:5,000万)、居住用家屋の土地330u(評価額:5,000万)
・Aは申告期限までに上記の宅地を相続により取得し、引き続き居住の用に供している

【解答1】(小宅の特例の適用がない場合)
(1)課税価格 5,000万+5,000万=1億
(2)基礎控除 3,000万+600万×法定相続人の数(本例においては1人)=3,600万
(3)課税遺産総額 (1)−(2)=6,400万
(4)納付税額 (3)×30%−700万=1220万

【解答2】(小宅の特例の適用がある場合)
(1)課税価格 (5,000万+5,000万)−4,000万(小宅の特例)=6,000万
(2)基礎控除 3,000万+600万×法定相続人の数(本例においては1人)=3,600万
(3)課税遺産総額 (1)−(2)=2,400万
(4)納付税額 (3)×15%−50万=310万

 上記の例から小宅の特例の適用を受けるか否かによってその減税効果が910万円にもなることがわかります。ということは小宅の特例の適用がなければAさんは多額の相続税を払えず、甲さんの死亡後居住していた土地と家屋を売却することになっていたかもしれません。
つまり、小宅の特例は『@生活基盤となっている土地をA親族に対してB相続等する場合については相続税の負担を軽減してあげよう』という趣旨で創設された規定なのです。
なお、適用を受けるための大前提は上記の番号を付した要件の通りです。
@被相続人等の事業用、居住用の宅地であること(下記に詳しい説明有)
A死亡した者と親族関係にある人が土地を取得する場合でなければ適用はありません。
B相続・遺贈での取得でのみ適用があり、贈与による取得については適用はありません。

小規模宅地等(以下「小宅」という)の種類について
 小宅はその宅地の目的に応じて4種類に区分されます。
ここではざっくりと4種類について確認していきましょう。

(※1)課税価格に下記の割合を乗じた金額が減額金額となります。(先ほどの例では目的が被相続人の居住用であった為、5,000万円の80%相当額である4,000万円が減額金額となります。)
(※2)必ずしも土地全体につき適用を受けられるわけではなく、面積につき限度が設けられています。
(※3)被相続人が土地を使用している場合に加えて、被相続人の生計一親族(被相続人と同じ財布で生活している者)が土地を使用している場合(被相続人からの使用貸借が前提)を含む。

改正の内容は?
 今回の改正の対象となったのは、特定居住用宅地等・貸付事業用宅地等になります。
ボリューム的にすべての改正の内容について触れることは難しいので、貸付事業用宅地等については次回に回すことにします。
具体的な改正についてお話する前に、適用対象者ごとの要件について触れておきましょう。
<特定居住用宅地等の適用対象者ごとの要件について>
特定居住用の特徴については既出の図解で説明したとおりですが、土地を取得した者(親族に限る)であれば誰でも適用が受けられるわけではありません。
取得者別に要件が設けられているのですが、その内容を確認していきましょう。

まず、上記の図解からわかる通り、特定居住用宅地等としての適用が受けられる可能性がある人は4種類しかいません。(配偶者、同居親族、別居親族、生計一親族)
このうち、配偶者については最も優遇されるべきである者であることから特段要件は存在せず、取得しさえすれば特定居住用宅地等の80%の減額の適用を受けられます。
ただし、それ以外の者が減額の適用を受けるためには基本的に申告期限までにその土地を相続・遺贈により取得し(※1所有要件)、かつ、居住し続けている(※2継続要件)必要があります。
なお、別居親族については最も厳しい要件が課せられており、(※3)の持ち家要件や(※4)の同居親族要件を充足しなければ適用を受けることができませんでした。(被相続人と離れて暮らしていることも想定されるため、継続要件については優遇される)
<改正の内容について>
 さて、図解からもおわかりかと思いますが、今回の改正では(※3)の持ち家要件がより厳しいものとなりました。今までは相続開始前3年以内にその者又はその者の配偶者の所有する家屋に居住したことがなければ要件がクリアとなっていたわけですが、今までの要件から一定の者が除外されることとなりました。
一定の者とは下記の通りです。
 @相続開始前3年以内に、その者の3親等内の親族又はその者と特別の関係にある法人が所有する国内にある家屋に居住したことがある者
 A相続開始時において居住の用に供していた家屋を過去に所有していたことがある者
言い換えれば、上記のいずれかの要件に該当する者は改正前の持ち家要件を満たしていて
も改正後は別居親族として小宅の特例の適用が受けられないこととなったのです。

改正の背景
 上記の改正の背景には、本来持ち家があって別居親族として小宅の特例を受けられないはずの人が、相続開始前にその持ち家を親族などに売却・贈与等することにより「持ち家無し」となることによって適用可能な状態を意図的に作出するという事例が増加したためと言われています。

最後に
 いかがだったでしょうか?
文中でもお話したとおり、小宅の特例は相続税の課税価額を減額する有用な手立てとなりますが、本来適用を受けることのできない人が適用を受けるために意図的な行為を行うというのは行き過ぎた節税と言われてもしょうがないですね。
 相続税については改正が入ることによって規定の内容もどんどん複雑化しており、適用の有無によって税額が大きく変わってくるのも特徴です。
 自分や親族に相続が発生した時の相続税の試算はできていますか?またその対策は万全でしょうか?不安を感じる方はどんな些細なことでも結構ですので、中嶌会計事務所までお気軽にお問い合わせください!

 2018年も年が明けて、早いもので3か月が経過しました。
今年の冬は非常に寒かったように思いますが、暖かくなるのも早く、佐保川の桜も見ごろを迎えております。
今月の大ちゃんニュースのテーマは「非上場株式の納税猶予制度(新事業承継税制)」について。
従来から相続税・贈与税には事業承継に関する規定が設けられておりましたが、実際に規定を適用するにあたってはハードルが高く、現実的には使いづらいものでした。そこで、平成30年度から納税者にとってより使いやすい規定とするべく税制改正が行われることとなりました。具体的に変わったところを従来の規定の内容を踏まえて解説していきましょう!

◆ 多様な事業承継税制
 現在、我が国の税法の規定では各種事業承継規定が設けられています。
1.農地等の納税猶予(贈与税・相続税)…農業の事業承継
2.非上場株式の納税猶予(贈与税・相続税)…法人の事業承継
3.山林の納税猶予(相続税)…林業の事業承継
4.医療法人の持分についての納税猶予(相続税・贈与税)…医療法人の事業承継
もちろん業種の違いはありますが、共通する目的は『事業承継の円滑化』です。
親世代から子世代に事業(株)や財産(農地)を承継するにあたっては、得てして莫大な相続税・贈与税が課税されることとなります。
相続や贈与といった事象により、税金が事業承継を阻害することのないように事業承継税制が創設されることとなったのです。

◆ 従来の事業承継税制(非上場株式の納税猶予)との相違点
 非上場株式の納税猶予については、平成25年度の改正により抜本的な見直しがされることとなりましたが、それでもなお適用要件が厳しく使いづらい一面がありました。
そこで、今回の平成30年4月1日より現行の制度に10年間限定の特例措置が拡充され、納税者にとってより使いやすい規定へ抜本的に改正されることとなりました。
 では、下記の図を使って具体的にどのように変わったのかを従来の規定と比較して説明していきましょう。

(注1)まず、大きな変更点として、対象株式数と猶予対象となる評価額が大きく拡充されています。現行の制度では相続した株式のうち発行株式数の3分の2に達するまでの株式数が対象となり、さらにその評価額の80%が猶予される税額となっていましたが、この改正により相続した株式の全てが対象となるとともに、その評価額の100%が猶予されることになりました。つまり、実質相続や贈与で取得した株式の評価額に対する税額が全て猶予の対象となるわけです。これはかなり大きな変更点と言えるでしょう。

(注2)次に雇用確保要件ですが、従業員が少ない中小企業にとって5年平均の従業員数が80%を下回らないようにしなければならないというのは厳しいものであり、実はこの要件も現行の規定においてかなりネックになっていたようです。(因みに、要件が満たされないこととなった場合には認定が取り消され、猶予税額の全額の納付が必要となります。)特例制度においては5年平均の従業員数が80%を下回った場合でも、認定経営革新等支援機関(※)の意見が記載されている「下回った理由」を記載した書類が提出された場合には、認定の取消がされないこととなります。つまり、雇用確保要件が実質的に撤廃され、ネックとなっていた要件もクリアできることになったわけです。(※)税理士事務所など

(注3)現行の制度では、代表者であった同族関係者間で筆頭株主である先代経営者からの贈与に限られており、特例制度では先代経営者の要件はそのままに後継者となる人が代表者以外の者から取得する非上場株式についても上記(注7)の期間内に申告書の提出期限が到来するものについては、本特例の対象とされます。言い換えれば、役員になったことの無い株主でかつ親族以外の人から相続・贈与等により取得した非上場株式についても適用が受けられることとなり、相続や贈与で非上場株式を渡す側の要件が緩和されることとなります。因みに、この要件については現行の事業承継税制でも同様に改正されます。

(注4)受贈者(株を取得する者)においても、現行制度では筆頭株主である代表者に限定されますが、特例制度においては一定の計画に記載された代表権を有する後継者で、発行済総議決権数の10%以上を有する上位2名又は3名も対象となり、相続や贈与で非上場株式をもらう側の要件が緩和されることとなります。

(注5)平成29年の改正により、推定相続人又は孫である後継者について相続時精算課税制度の適用が可能となりましたが、特例制度では推定相続人や孫以外の親族や第三者であっても相続時精算課税の適用を受けて非上場株式の贈与税・相続税の納税猶予の規定を受けることができるようになりました。

(注6)特例制度は、平成30年4月1日から平成35年3月31日までに都道府県知事に提出された、認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受けた適用を受けようとする会社が作成した計画であり、その会社の後継者や承継時までの経営見通し等が記載された特例承継計画の提出を要件として適用を受けることができます。

◆ 事業承継税制適用の大まかな流れ
 次に特例事業承継税制の適用について大まかな流れをお話します。

(1)納税猶予を受けるまで
まずは前提条件として平成30年4月1日〜平成35年3月31日までの間に税理士事務所等の認定経営革新等支援機関の指導又は助言を受けた適用対象法人が作成した特例承継計画を都道府県知事に提出することが要件となりますが、特例事業承継税制の適用を受けるにあたっての入り口は大きくわけて下記の2つです。
@先代経営者その他の者から贈与で後継者に非上場株式の贈与が行われること
A先代経営者その他の者から相続又は遺贈で後継者に非上場株式の相続が行われること

ポイントは非上場株式について贈与を行う場合には、特例承継計画を提出してから平成39年12月31日までに次期後継者に贈与を行い、代表権を譲ることです。
上記の贈与、相続等を要件とし後継者へ経営権が移行したこと等の要件が満たされると、都道府県知事より認定が受けられることとなり、晴れて納税猶予が受けられることとなります。
(2)納税猶予を受け、猶予税額につき免除を受けるまで
 納税猶予の適用を受けると非上場株式に係る贈与税・相続税の課税は猶予され、贈与者や後継者の死亡、次世代への非上場株式の一括贈与を起因として最終的にその税額は免除されることとなります。
因みに上記図解における@´のパターンは贈与税の納税猶予の適用を受け、その後贈与者が死亡し、相続税の納税猶予に切替わるパターンです。
その場合は贈与税の納税猶予税額については免除となり、贈与でもらった非上場株式を相続等で取得したものとみなし、相続税の課税対象とすることとなります。
相続税の課税対象とされた非上場株式は要件を満たしていれば相続税の納税猶予の適用が受けられることになります。
しかし、免除されるからといって何もしなくていいわけではありません。具体的にはちゃんと事業を継続して経営頑張ってます!というのを税務署長に届け出る必要があります。この届出に関しては特例承継期間内であれば毎年、特例承継期間後は3年ごとに行う必要があります。他にも、特例承継期間内に後継者が代表者でなくなる等経営状況の変更があった場合や猶予の対象となる株式を売却などすると猶予が打ち切られ、猶予税額と利子税の納付が必要となる場合もありますので注意が必要です。

◆ 最後に
 平成30年度より改正される事業承継税制いかがだったでしょうか?現在事業承継をお考えの方にとってはこの機会に是非活用をご検討頂きたい話題となりそうです。しかし、適用を受けるにあたり注意点も多く複雑な部分もあるため、まずは是非一度中嶌会計事務所までお気軽にご相談ください!

 寒い日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか?
インフルエンザも流行しているようですがインフルエンザウイルスは乾燥した環境を好むようですので、室内の保湿も忘れずにしっかりと行いましょう!
今回のテーマは平成29年度の確定申告からいよいよ導入となるセルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について。以前にも一度お伝えさせて頂きましたが、もう少し具体的な解説をさせて頂きます。

まずは以前のおさらいからしていきましょう。

◆ 医療費控除とは
 自分や家族のために支払った医療費等の実質負担額が、年間10万円(所得金額が200万円未満の人は「所得金額×5%」の額。)を超えた場合、その超えた金額をその年の所得から差し引くことができる制度。 控除できる金額の上限は200万円。 ただし、保険金などで補てんされた場合はその金額を差し引かなければいけません。(※未払い医療費は含まない。)

〈計算式〉
支払った医療費−(注)100,000円=控除額(2,000,000円を限度)
(注)所得金額200万円未満の人は総所得金額×5%を限度

◆ セルフメディケーション税制とは
 健康の維持増進・疾病の予防として一定の取組を行う人が、その年に自分や家族のために購入したOTC医薬品の対価の額の合計が12,000円を超えるときは、その超える部分の金額(88,000円を限度とする。)を総所得金額から控除することができる制度。

〈計算式〉
支払った特定一般用医薬品の対価の額−12,000円=控除額(88,000円を限度)

◆ 医療費控除とセルフメディケーション税制との関係性について
 結局のところ、医療費控除とセルフメディケーション税制はどう違うのか、医療費控除とセルフメディケーション税制の関係について詳しく解説していきましょう。

・医療費控除とセルフメディケーション税制はいずれか選択適用である。(重複適用不可
・どちらの規定も年末調整では適用出来ず、確定申告をする必要がある
・セルフメディケーション税制では、適用を受ける人(確定申告を行う人)が(注)一定の取組を実施する必要がある。(家族全員が行う必要はありません。)
・医療費控除もセルフメディケーション税制もどちらも所得控除であり、税額控除でないため、納めた税金がない場合には税金が還付されることはない。
・医療費控除は最大2,000,000円まで、セルフメディケーション税制は最大88,000円までの所得控除が可能。

(注)一定の取組(いずれかひとつでよい)


なお、一定の取組を証明する書類である領収書又は結果通知表には次の事項の記載が必要である
・「一定の取組」を行った者の氏名
・「一定の取組」を行った
・「健康診断健診」などの事業を行った保険者、その事業者若しくは市町村の名称又は診察を行った医療機関の名称若しくは医師の氏名
まず着目する点として、適用できるのは医療費控除かセルフメディケーション税制のどちらか一方の選択適用となっていますので、有利な方を選択します。
具体例を使って控除額を計算していきましょう。


【設例1】
居住者甲さんは平成29年中に次の支出がありますが、医療費控除はどうなりますか。
@ 甲の歯の治療費           20,000円
A 甲のOTC医薬品の購入費       60,000円
B 甲の妻のOTC医薬品の購入費     80,000円
※1.甲は平成29年中にインフルエンザの予防接種をしているが、妻はしていない。
※2.甲と甲の妻は生計を一にしている。
※3.甲の平成29年分の所得金額の合計額は6,000,000円とする。

【答】
(1) 医療費控除
(20,000円+60,000円+80,000円)−100,000円=60,000円

(2) 医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)
(60,000円+80,000円)−12,000円=128,000円>88,000(限度額)∴88,000円

(3) 医療費控除額
(1)か(2)のいずれか大きい方を選択⇒88,000円
  
セルフメディケーション税制が導入される前ですと、(1)の医療費控除額の60,000円しか所得控除されなかったのに対し、今回は88,000円の所得控除ができる結果となりました。


【設例2】
居住者甲さんは平成29年中に次の支出がありますが、医療費控除はどうなりますか。
@ 甲の歯の治療費           20,000円
A 甲のOTC医薬品の購入費       30,000円
B 甲の妻のOTC医薬品の購入費     40,000円
※1.甲は平成29年中にインフルエンザの予防接種をしているが、妻はしていない。
※2.甲と甲の妻は生計を一にしている。
※3.甲の平成29年分の所得金額の合計額は6,000,000円とする。


【答】
(1)医療費控除
(20,000円+30,000円+40,000円)−(注)100,000円=△10,000円⇒0円

(2)医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)
(30,000円+40,000円)−12,000円=58,000円

(3)医療費控除額
(1)か(2)のいずれか大きい方を選択⇒58,000円

このケースでは通常の医療費控除額が0となり、セルフメディケーション税制を適用すると控除額は58,000円となります。(セルフメディケーション税制導入前は医療費控除の適用を受けることはできない。)

また、セルフメディケーション税制も医療費控除と同様、年末調整では所得控除をすることができず、確定申告をすることによって初めて適用することができます。
従って、会社で年末調整をしたからこれで終わりというわけではなく、医療費がある場合には、ご自身で医療費控除(セルフメディケーション税制)の適用を受けることができるかを確認することが必要となります。
そのためにも、病院に通院した領収書や薬局で購入したOTC薬品の領収書を捨てずに残しておくことが大切になってきます。

 因みに、ワンストップ特例制度を利用してふるさと納税をしている方についてはふるさと納税分についても申告をする必要があるため、注意が必要です。


◆ 添付書類の改正点(紙提出の場合)
 従来の医療費控除の適用を受けるためには、領収書などの添付が義務付けられていました。しかし、平成29年分以降につきましては、領収書の提出義務がなくなった代わりに医療費の明細書を記載し、提出することが義務付けられました。
改正が入った部分は下記の通りです。



現在は経過措置期間となるため、平成31年分の確定申告まではこれまでと同様に領収書の添付又は提示でもよいこととされていますが、領収書につきましては5年間の保存が義務付けられておりますので、きっちりと保管しておきましょう!


◆ 各種明細書につきまして
 医療費控除、セルフメディケーション税制の明細書については下記のリンク先の資料をダウンロードして頂ければと思います。
【医療費控除の明細書】
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/yoshiki02/pdf/ref1.pdf
【セルフメディケーション税制の明細書】
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/yoshiki02/pdf/ref2.pdf


◆ 最後に
 平成29年度に子供がお生まれになった方や、医療費や薬代が例年よりもかかった方についてはこれらの制度を利用することで税負担が軽減できるかもしれません。
医療費控除に関わらず確定申告についてお悩みの方は中嶌会計事務所まで是非是非ご相談ください!

 12月になりました。
師走という言葉の通り、ここから忙しくなる方も多いのではないでしょうか。
良い年末年始を迎えられるよう、2017年残り1月頑張っていきましょう。
さて、今月の大ちゃんニュースのテーマは仮想通貨と税金のお話です。
巷で話題となっているビットコインをはじめとする仮想通貨。
日本は仮想通貨の法整備が進んでいる国でもあります。
では仮想通貨を持っているとどのようなタイミングで課税されるのでしょうか?
今月もわかりやすく解説して参りましょう。

◆そもそもビットコインとは何か
 仮想通貨の一種です。
他にもイーサリアム、リスク、リップル、ライトコイン…といった様々な仮想通貨がありますが、ビットコインが仮想通貨のなかでは普及率が現在最も高い状況です。
仮想通貨といわれてもピンと来ない方もいらっしゃると思うので、イメージの付きやすいものを例に挙げると、オンラインゲームなどの中で利用される「◯◯コイン」と言われるようなものです。
円やドルとこれを交換することで、ゲーム内のアイテムを購入することができます。
これと同様にビットコインも円やドルと交換して利用することで実際に商品を購入す
ることができます。
因みに今現在ビットコインが支払いに使えるお店は以下の通り。
https://jpbitcoin.com/shops
これからもっともっと増えていくことでしょう。

◆今なぜ仮想通貨に注目が集まっているのか
 @ビットコインのメリット
  ・24時間365日取引ができる
   →土日など取引ができなくなる株式やFXなどとは違い、いつでも取引が可能です
  ・少額から取引ができる
  ・送金等の自由度が高い
   →容易に送金ができ、手数料が少額であることが特徴です
 Aビットコインのデメリット
  ・投機的な側面があること
   →色々な要素に左右され、暴騰・暴落を繰り返すため、長期的な投資には向かないという考え方もあります
  ・価値の補償がないこと
   →価値が暴落したり、PCがハッキングされることでビットコインが盗まれたり、悪質な取引所にビットコインを持
   ち逃げされるようなことがあっても、誰も補償してくれません。全て自己責任の世界です

◆仮想通貨の入手方法
   仮想通貨の入手方法には主に2種類あります。
 @円やドルとの交換 
 →仮想通貨の取引所で円やドルと交換して仮想通貨を購入します。
 A採掘(マイニング)
 →例えばビットコインは、その性質上、全ての取引情報を取引台帳に記録する(ブロックチェーン技術といいます。)の
 ですがそれには莫大な計算量が必要になります。そのため、その計算処理に協力(投資)をすることで、報酬としてビッ
 トコインを受け取ることができます。

◆仮想通貨と税金について
   さて、ここからがいよいよ本題です。
 @所得税法上の取扱い
   ビットコインなどの仮想通貨に関する所得の計算方法について説明します。
  仮想通貨を売却した場合、取得額との差額が所得と見なされ、「雑所得」として課税対象になります。
  また、ビットコインを使用することにより生じる利益も同様です。
  具体例を挙げてみましょう。

 【具体例】0.1BTCを20万円で購入して、0.1BTCが25万円になったときに家電量販店で25万円のPCを購入した場合(BTC…ビットコインの単位)



   これはつまり、一度円に換金してそのお金で商品を買ったのと同じ状態ですので利益の5万円部分が課税対象となりま
   す。
   反対に、仮想通貨取引で損失が出た場合には給与所得など他の所得と損益通算はできませんので注意が必要です。(雑所得内での損益通算は可能。)
   ただし、年末調整済みの給与所得を有する方で、仮想通貨の売却又は使用による所得が 20万円以下の方については、その他に所得がない場合、確定申告は不要です。
 A相続税法上の取扱い
   仮想通貨に相続税がかかるのか、という部分についてはいろいろな議論がありますが、現在のところ国税庁から相続
   税の仮想通貨に関する具体的な取扱いは発表されておりません。
   しかし、2016年2月に金融庁がビットコインに貨幣機能があるとの見解を示したため、今後ビットコイン所有者が死
   亡した場合、相続税の課税対象となる可能性は高いと思われます。相続税は死亡した者の死亡時点(課税時期)の財
   産価値に対して課税を行うため、仮想通貨においても死亡時点における価値でもって相続財産と捉えるというのが妥
   当な取扱いとなるのではないでしょうか。

◆最後に
  仮想通貨についてはまだまだ発展途上な部分もあり、現時点ではその取扱いについてわからない部分も多い部分もあり
 ます。
 引き続き、税法の取扱いについて新たな動きがあれば随時更新して参りますので、乞うご期待!
 ただし、くれぐれも仮想通貨への投資は自己責任でお願い致します。

【参考】国税庁 仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)

 今年も早いもので、もう10月ですね。
過ごしやすくなってきましたが、気温の寒暖差が激しい時期でもありますので体調管理には気を付けたいところですね。
 さて、今月の大ちゃんニュースのテーマは「広大地評価の廃止と地積規模の大きな宅地の評価の新設」についてです。
皆さんの周りで大きな宅地を所有している方はいらっしゃいませんか?
ほっておいてしまうと来年以降多額の相続税、贈与税がかかることになるかも!?
該当する人は早めの対策が必要となります。
そもそも広大地って何?という部分も含めて、詳しく解説していきましょう!

◆改正のポイント
 広大地の詳細な定義などについては後述するとして、まずは改正のポイントについてお話していきましょう。
改正の大きなポイントは以下の2点です。
 @今まで曖昧だった『広大地の定義』の明確化(注1)
 A広大地の評価方法の変更(注2)
もう少しポイントを掘り下げていきますと…
(注1)広大地に該当するかどうかの判断はとても曖昧なものがあり、申告を行う納税者にとっても課税庁側にとっても統一的な判断を行うのが困難な部分があった為、統一的なルールを設けよう!というものです。
(注2)現行の広大地評価はその面積に応じて比例的に減額する評価方法を採用しており、土地の形状・面積などの実態に応じた評価が出来ていなかった点や富裕層の節税対策に利用されている事例もあった点から土地の実態に即した評価が出来るように改正が行われることとなったようです。
上記のポイントをふまえ、現行の広大地評価を廃止するとともに新しく『地積規模の大きな宅地の評価』を新設することとなりました。

◆いつから改正される?
 平成30年1月1日以降に相続、遺贈又は贈与により取得した宅地について適用されることになります。

◆具体的な改正内容について

※上の算式中の「B」及び「C」は、地積規模の大きな宅地が所在する地域に応じそれぞれ次に掲げる表のとおりとする。


◆具体例


◆改正によるメリットとデメリット
メリット
「広大地の評価」から「地積規模の大きな宅地の評価」への改正により要件が明確化したこと。また、今まで広大地評価が適用できなかったマンション適地でも面積が500u(三大都市圏以外1,000u)以上で容積率400%(東京都特別区300%)未満の土地であれば、地積規模の大きな宅地の評価が適用できるようになりました。
デメリット
適用できる地区区分が普通商業・併用住宅地区、普通住宅地区に限定されることにより広大地評価の対象となっていた宅地の範囲が狭くなってしまったこと。また、広大地補正率と規模格差補正率を比較すると、規模格差補正率の方が低いため減額できる金額も少なくなり、土地評価額は高くなってしまうことなどがあげられるでしょう。

◆最後に
 具体例の宅地では評価額が実に3,600万ほどアップする結果となりました。
この改正をふまえて今すでに相続対策を行っている方についても新たに対策を練り直す必要があったり、まだ対策を行っていない方についてはしっかりとした対策が必要となってくるかもしれません。
相続に関するご質問やご相談などについては中嶌会計事務所までお気軽にお問い合わせください!


8月になり、厳しい暑さが続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか?
さて、今月の大ちゃんニュースのテーマは「タワーマンションの固定資産税の課税の見直し(以下、タワマン課税)」についてです。
最近新聞でもよく話題になっており、関心を持たれている方も多いかもしれません。
そこで、タワマン課税ってどういう内容?なぜ規制がかかろうとしているの?という事を簡単にお話しさせていただきます。

◆タワーマンション(注)を使った相続税対策
タワーマンションが好んで購入されたのは、富裕層の方々の相続税対策として使い勝手が良かったからです。具体的な相続税対策について触れるとともに、タワマン課税の問題点についてお話します。
(注) 区分所有家屋のうち、高さが60メートルを超える建築物(建築基準法第20条第1項第1号に規定する建築物)であって、複数の階に人の居住の用に供する専有部分を有するものをいいます。

これまでのタワマン課税の問題点
タワーマンションを取り巻く諸問題は、主に次の2点が挙げられます。

1.固定資産税や不動産取得税が、1階と最上階で同じ
タワーマンションの購入価格は、同じ間取りの場合でも階数が上がるほど価格も上がるのが通例で、その売りの一つは眺望です。階数が増える毎に部屋からの見晴らしが良くなります。また、美しい景色を望める方角は同じ階数でも高くなり、イマイチな景色の方角は安くなります。
そのため、階数や方角で購入価格が異なるのは仕方のないことですよね。
ところが、固定資産税や不動産取得税はそうではないのです。
同じ間取り、同じ床面積ならば、1階でも50階でも、北向きでも南向きでも、素晴らしい景色が見えようが隣のマンションの壁が見えようが、掛かる税金は全くの同額、1円も違いません。
固定資産税や不動産取得税は、固定資産税評価額に税率を乗じて計算しますが、タワーマンションの固定資産税評価額は、タワーマンション全体の建築コストを床面積で各部屋に割り振ったもので、階数や方角は一切加味していません。
そのため、固定資産税や不動産取得税は購入価格と全く比例しない税額となってしまうわけです。

2.富裕層の相続税対策に利用されやすい
先程登場した固定資産税評価額は購入価格の3割〜6割程度になります。
具体的には次のようなイメージ(固定資産税評価額は推定)です。


この固定資産税評価額は、固定資産税等の税金の計算に使われるだけでなく、相続税や贈与税の計算にも利用されています。
例えば、現金2億円を所有する資産家の方が、何もせずに亡くなった場合は、現金2億円に対して相続税が課税されます。
一方で、現金2億円のうち1億円でタワーマンションを購入した方だと、現金1億円+タワーマンション3千万円=1億3千万円に対して相続税が課税されます。
つまり相続税の計算上は、財産を7千万円圧縮できたことになるわけです。

この仕組みはタワーマンションに限った話ではなく、建物全般に共通する仕組みなのですが、タワーマンションは購入後にあまり値段が下がらず、むしろ上がる傾向もあった事や、換金が比較的容易である事から、富裕層の方々の相続税対策として好まれていたようです。

◆平成29年度税制改正
前置きが長くなりましたが、平成29年度税制改正では、前述の問題点のうち固定資産税についての部分が改正されています。
この改正により同じ床面積でも、階数によって固定資産税が変動することとなります。但し、タワーマンション全体での総和は変わりませんので、低層階で安くなった分を高層階で引き受ける形になります。また、方角は考慮されていません。
具体的には、1階を100%とすると、20階で約105%、40階で約110%、というように階数が増える毎に負担割合が上がっていきます。
例えば、改正前の固定資産税が一部屋あたり年間20万円の50階建タワーマンションとすると、改正後は1階で約18万8千円、20階で約19万7千円、50階で約21万2千円となります。

改正は平成30年度から固定資産税が課税されるタワーマンションが対象
上記の改正は、平成30年度から固定資産税が課税されることとなるタワーマンション(ただし、平成29年4月1日前に売買契約が締結された住戸を含むものを除く)について適用されます。
固定資産税はその年1月1日現在で表示登記されているものが対象のため、平成30年1月1日以後に売買契約・表示登記されたものに加え、次の二つの条件を満たす新築のタワーマンションも新ルールの対象です。
・そのタワーマンションの部屋全てが、平成29年4月1日以降に売買契約されたもの
・平成29年12月末までに建物の表示登記がされたもの

既にタワーマンションを所有している方はもちろん、そのタワーマンションのいずれかの部屋が平成29年3月31日までに売買契約されているものや、中古タワーマンションは新ルールの対象外です。

実際の裁決では・・・
タワーマンションを利用した相続税対策についての税務署の目線がかなり厳しくなっているのが実情です。

国税不服審判所によれば平成23年7月1日に以下のような裁決がされています。
【概要】
・平成19年8月にタワーマンションを2億9300万円で購入
・平成19年9月に被相続人死亡
・平成20年7月にタワーマンションを相続した相続人が2億8500万円で売却
・タワーマンションの購入時と売却時の価値はほぼ同等である
【納税者の主張】
相続人は相続したタワーマンションにつき財産評価基本通達(※)に基づき財産評価をし、土地建物合わせて5800万円を相続財産として申告した。
【国税当局の主張】
財産評価基本通達で評価した5800万円ではなく、タワーマンションの購入価額である2億9300万円で申告すべきであると主張した。
【裁決】
タワーマンションは取得価額である2億9300万円で評価するのが相当であると判断した。
(※)相続税・贈与税の計算にあたり、財産を評価する方法として国が定めた一定の基準のこと


裁決の理由をまとめてみます。
財産評価基本通達はあくまでも財産を評価する際の形式的な基準であり、この通達による評価が妥当ではない場合には他の合理的な方法により評価することになります。
上記事例においては、仮にタワーマンションを購入せず購入資金がそのまま相続財産となった場合には、その購入資金2億9300万円がそのまま相続財産として申告されることとなります。
この購入資金をタワーマンションに充てることで財産評価額を2億3500万円減らすことができましたが、相続開始後短期的にタワーマンションを売却したことを踏まえると、相続税を節税するためにタワーマンションを購入したものと考えられます。
したがって、短期的かつ一時的に財産の所有形態がタワーマンションになったに過ぎないものについて財産評価基本通達により評価することは、この通達による評価が妥当でないと認められたようです。
この場合の他の合理的な方法とは、
・タワーマンションの取得日と相続開始日が近いこと
・購入時と売却時の時価はほぼ同等であること
を踏まえると取得時の時価2億9300万円で評価することが相当であるという国税当局の主張が通った形となりました。

このように相続税対策が税務調査でひっくり返された事例もありますので、相続税対策には注意が必要です。相続税対策をお考えの方は、お気軽に中嶌会計事務所までご相談ください。

 6月になりました。すっきりとした5月とは打って変わって、蒸し暑い日が多くなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。
さて、今月の大ちゃんニュースのテーマは「配偶者控除の見直しについて」。
所得税に関係する論点ですので、気になっていた人も多いはず。
今月も「わかりやすく」を目標に解説して参ります!

◆配偶者控除とは
 そもそも、配偶者控除ってどんな制度なのでしょうか?
簡単に言うと、控除の対象となる配偶者(例えば、妻)がいる場合にその夫(納税者本人)の所得から38万円控除しますよ。という制度です。

控除対象配偶者とは
控除対象配偶者とは、その年の12月31日の現況で、次の四つの要件の全てに当てはまる人です。
(1) 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)。←正式な婚姻関係がないとダメ。
(2) 納税者と生計を一にしていること。←夫と生計を別にする妻は該当しません。
(3) 年間の合計所得金額が38万円以下であること。
 (給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
(4) 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。←例えば個人事業主である夫などから給料を受けている妻は対象とはなりません。

合計所得?給与収入?
 少しややこしそうな用語ですが、解説していきましょう。
所得税の計算に当たっては「収入から必要経費を差し引いた金額が所得」となります。

〈具体例〉(上記の(3)以外の要件はすべて満たしているものとします。)
給与による収入が年間100万円の人(妻)がいるとします。
この場合の妻の所得の計算は、
100万円(収入)−65万円(必要経費※)=35万円(合計所得金額)≦38万円
となり、世帯主(納税者本人である夫)の所得から38万円の控除(配偶者控除)ができます。
(※)この65万円の控除は、「給与所得控除」という規定によるもので、給与収入ごとに控除できる金額が一律に決まっているものとなります。(下記参照)
今回の具体例では100万円(収入金額)×40%=40万円となり65万円に満たないため、65万円が控除できることとなります。

(参考)平成29年分給与所得控除


因みに…
「年間収入103万円までなら税金がかからない」とよく言われますが、実は103万円とはこの給与所得控除の65万円と所得税の基礎控除(この金額までは課税しません、という金額。)の38万円の合計なんですね。

◆もう一つの配偶者控除、「配偶者特別控除」
 じつは、配偶者控除にはもう一つ「配偶者特別控除」という規定があります。
この規定は配偶者控除の38万円の控除が受けられない場合においても、配偶者の収入金額に応じて、控除を受けることができるという規定です。
配偶者控除との大きな違いは配偶者控除が定額の控除(現行)であるのに対し、配偶者特別控除が所得に応じて控除額が変動する、段階的な控除制度であるということです。

◆具体的な改正ポイント
配偶者控除の改正
配偶者控除の額が下記図2のように改正され、合計所得金額が1,000万円(給与収入1,220万円)を超える居住者については配偶者控除の適用が受けられないこととなりました。

配偶者特別控除の改正
今までは配偶者控除の控除額38万円の満額を受けるためには配偶者の年収が103万円以下でなければならなかったところ、配偶者特別控除の額が下記図2のように改正され、配偶者の年収が150万円以下であれば配偶者特別控除として38万円の控除枠が使えることとなりました。

適用時期
平成30年分以後の所得税について適用されることとなります。
従って、本年分は今まで通りです。

図1

 右に伸びた矢印が改正で年収要件が拡大された部分となります。
濃いオレンジ色のところをご覧頂ければ配偶者の給与収入が150万円以下の場合には配偶者特別控除によって38万円の控除額がカバーされていることがおわかり頂けるでしょうか。
 また、配偶者特別控除の年収要件も全体的に拡大されていますね!

図2

現行の制度では配偶者控除は控除対象配偶者の要件を満たす限り、一律38万円の控除を受けることができていましたが、納税者本人の年収に応じて使える控除枠が変わることとなりました。
 また、合計所得金額が1,000万円を超える場合には配偶者特別控除だけでなく、配偶者控除の適用も受けられないこととなりました。


◆最後に
 いかがだったでしょうか?
配偶者控除の制度は歴史が古く、創設されたのは昭和36年となります。現行の配偶者控除は専業主婦を前提とした制度であり、女性の社会進出が近年の社会情勢に対応する形で改正が入ることとなったという背景があるようですね。
このことにより、パートさんや主婦の方が今までより働きやすい環境が整備されていくかもしれませんね。
 ただし、施行にあたっては課題もあるようです。

配偶者手当の見直し
企業の多くが、配偶者控除の適用基準103万円を基準に社員に対して配偶者手当を支給しています。この手当の方が所得税の負担が下がった分よりも大きい世帯も比較的多い、という問題です。控除の金額には階段式の金額が設定されていますが、企業の場合、配偶者の年収が103万円を超えた時点で手当がなくなるケースが多いと思われます。

社会保険料の問題
企業の配偶者手当とは別に配偶者の社会保険料(年金と健康保険)の負担の問題があります。勤務する企業の規模によって配偶者の年収が「106万円」もしくは「130万円」を超えると社会保険料を負担することになるのです。

税制改正の目的を考えた場合、これらを含めてさらなる改革が必要となるでしょう。
改正が入るのは平成30年分以後の申告となりますのでまだ先の話となりますが、具体的にいくら控除を受けられるのかなど気になる方は中嶌会計までお気軽にお問い合わせください。

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