こんにちは!中嶌会計事務所です。
今回の大ちゃんニュースは税制改正の流れとふるさと納税の改正についてお伝えします。


◆ 税制改正の流れについて
 4月1日から平成31年度の税制改正を踏まえた新税制が施行となりましたが、そもそも新税制が施行となるまでにはどのような過程があるのでしょうか?

大まかには、下記1.〜4.のような流れとなります。

1.毎年夏頃までに各省庁から「税制改正要望」が提出。
2.12月頃に与党から「税制改正大綱」が発表。
3.2月頃に「税制改正法案」が国会に提出。
4.そして最後に審議・採択等を経て4月から「改正法案」が実際に施行。

では、今年度の税制改正につきまして、個人課税を中心にトピックス性の高いものをご紹介します。

@ 個人所得税
 ・ふるさと納税制度の見直し
 ・住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の特例の創設

A 資産課税
 ・特定事業用宅地等に係る小規模宅地等の特例の見直し
 ・個人事業者の事業用資産に係る納税猶予制度の創設
 ・教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与非課税措置の見直し

B 消費課税
 ・車体課税等の見直し
 ・外国人旅行者向け消費税免税制度の見直し


なかなか盛りだくさんな内容ですね。
今後大ちゃんニュースでもしっかりと取り上げることとして、今回はこの中からふるさと納税制度の見直しについて紹介させて頂きます。

◆ ふるさと納税とは・・?
 聞いたことはあるが実際にはやったことがないという方もおられるのではないでしょうか?
ふるさと納税とは寄附金控除の一種です。寄附金控除は国・地方公共団体等に寄付をすることで一定の金額を寄付をした者の所得から控除する、という制度です。



つまり、ふるさと納税についても寄付金限度額までの寄付を各自治体に行うことで、所得税及び住民税について一定の控除を受けることができ、それに加えて自治体からお礼の品(以下「返礼品」という。)をもらうことができます。

例えば、10,000円の寄付を行うと所得税と住民税が8,000円減少し、さらに自治体から返礼品を受け取ることができます(実質2,000円で返礼品を購入したのと同じ効果が得られます。)
ふるさと納税の適用を受けるためには、原則として所得税の確定申告を行う必要があります。
確定申告書を税務署に提出すると、税務署が納税者の住所地の市役所等に申告情報を提供し、その市役所などが住民税の計算を行います。
その結果、ふるさと納税の効果分の所得税と翌年度分の住民税が減額されるという仕組みです。



また、寄付先の自治体が5団体以下の場合は確定申告を行う必要が無く、ワンストップ特例制度の適用を受けることができます。
ワンストップ特例とは、確定申告を行わずにふるさと納税を行った各自治体のホームページからワンストップ特例申告書を印刷し、その自治体に提出するだけでふるさと納税の税制面の優遇措置を受けることができる制度をいいます。
なお、確定申告を行っていないため、所得税の減額はなく、住民税のみ減額されることとなります。(減額金額は確定申告を行った場合と同じことになります。)



・寄付金限度額はどうやって調べることができるの?
 給与所得のみの方(サラリーマン等)につきましては前年の源泉徴収票を参考に「さとふる」や「ふるさとチョイス」等のふるさと納税サイトホームページから簡単に寄付金限度額の目安を計算する事が出来ます。

・いつまでに寄付を行えばいいの?
 1月1日から12月31日までの間に行った各自治体に対する寄附金の合計額が、寄附金控除の対象となります。

上記の点から、近年注目を集めているふるさと納税の制度ですが、本来の寄付という目的から外れ、各自治体が豪華な返礼品を用意して寄付金を集める競争が激化していました。
このような経緯から、以下の点について改正されることが決定しました。

(1) 総務大臣は以下の基準に適合する都道府県等をふるさと納税の
  対象として指定する。
 (イ)寄付金の募集を適正に実施する都道府県等
 (ロ)(イ)の都道府県等で返礼品を送付する場合には、以下のいず
   れも満たす都道府県等
  イ.返礼品の返礼割合を3割以下とする事。
  ロ.返礼品を地産品とすること。
(2) その他
 (イ)(1)の基準は総務大臣が定める。
 (ロ)指定は都道府県等の申し出により行う。
 (ハ)総務大臣は指定をした都道府県等が基準に適合しなくなった   と認める場合等には、指定を取り消すことができる。
 (ニ)総務大臣は指定をし、又は指定を取り消したときは直ちにその  旨を告示しなければならない。
 (ホ)基準の制定や改廃、指定や指定の取消しについては、地方財政
審議会の意見を聴かなければならない。
 (ヘ)その他所要の措置を講ずる。


 簡単にまとめますと、返礼品を地産品(商品券などはダメ。)とし、返礼割合を3割以下にして下さいという事です。

 ここで問題となるのが、上記の点を満たさないもの(総務大臣の指定が受けられなかったもの)についてはふるさと納税の対象から外れることになります。
つまり、一定の自治体に寄付を行っても、税制面での優遇措置の適用は受けることができず、返礼品を高い価額で購入しただけという事になります。

なお、改正適用時期は令和元年6月1日以後に支出された寄附金について適用されます。

また、今回の改正とは直接関係がありませんが、高額のふるさと納税を行う方(ふるさと納税の返礼品の金額が年間50万円を超える場合)につきましては、所得税(一時所得)が生じるため注意が必要です。
なお、返礼品の金額がわからない場合が多いため、以下のような方法を参考にして下さい。
・ネットショップで似たような商品の値段を調べる。
・寄付金額×返礼率

一時所得として算出された金額の1/2相当額が給与所得等の他の所得の金額と合計されて、所得税が計算されます。
つまり、ふるさと納税の返礼品が50万円を超える場合に所得税の計算に含めていない場合には所得税の課税漏れが発生してしまうため、注意が必要となります。

 いかがだったでしょうか?ふるさと納税の返礼品競争も少し落ち着きそうですね。お得感は少し薄くなりそうですが、まだふるさと納税をやったことがない方は是非チャレンジしてみてくださいね。
ふるさと納税のための確定申告のご要望がありましたら、中嶌会計までご連絡をお待ちしております!

<参考URL>
【ふるさとチョイス】
https://www.furusato-tax.jp/
【さとふる】
https://www.satofull.jp/