厚生年金保険・健康保険の適用拡大について

 今回のテーマは、平成28年10月1日より施行される、短時間労働者(パート、アルバイト)に対する厚生年金保険・健康保険の適用拡大についてです。
今回の改正により、今まで社会保険に加入する必要がなかった方なども、加入条件に当てはまることが出てくると思いますのでご注意ください。ではまず、現在の短時間労働者の社会保険の加入条件を見ていきます。


【現在の短時間労働者の社会保険加入条件】
@勤務先の会社が社会保険の適用事業所
A正社員の4分の3以上勤務実態があること。

(例)正社員:1日の基本労働時間8時間 週5日勤務の週40時間
   短時間労働者:1日6時間以上 週30時間以上の労働時間
   →4分の3以上という社会保険入条件を満たす。
B会社に雇われた時の契約期間が一定以上であること。
※雇用契約期間が2か月以内の臨時従業員、日雇い労働者などは該当しません。
現在これら3つの条件を満たせば社会保険に加入できます。

次に、10月から適用が拡大される社会保険の加入条件をあげていきます。

【平成28年10月1日から拡大される短時間労働者への社会保険加入条件】
まず、前提として全ての事業所が適用拡大の対象となるわけではありません。特定適用事業所として定められた事業所のみが今回の適用拡大の対象となります。
※特定適用事業所
同一事業主の適用事業所の厚生年金保険の被保険者数の合計が、1年で6か月以上、500人を超えることが見込まれる場合は特定適用事業所として対象となる。

加入条件の適用拡大の対象となるには、特定適用事業所で以下の条件を満たす必要があります。
@週の所定労働時間(就業規則などで定めている労働時間)が20時間以上であること。
・所定労働時間が週単位で定まっていない場合
(1)1ヵ月単位で定められている場合
・1ヵ月の所定労働時間を12分の52で除して算定します。
(2)1年単位で定められている場合
・1年間の所定労働時間を52で除して算定します。

A雇用期間が1年以上見込まれること。
(1)期間の定めがなく雇用される場合
(2)雇用期間が1年以上である場合
(3)雇用期間が1年未満であり、次のいずれかに該当する場合
・雇用契約書に契約が更新される旨または更新される可能性がある旨が明示されている場合
・同様の雇用契約により雇用された者について更新等により1年以上雇用された実績がある場合

B賃金の月額が8.8万円以上(年間106万円以上)であること。
・賃金の対象にならないもの
(1)臨時に支払われる賃金および1月を超える期間ごとに支払われる賃金
(2)時間外労働、休日労働及び深夜労働に対して支払われる賃金
(3)最低賃金法で算入しないことを定める賃金(精皆勤手当、通勤・家族手当)

C学生でないこと
・学生であっても以下の条件に該当する場合は、適用拡大の対象になります。
(1)卒業見込証明書を有する方で、卒業前に就職し、卒業後も引き続き同じ事業所に勤務する予定の方
(2)休学中の方
(3)大学の夜間学部および高等学校の夜間等の定時制の過程の方等

 今回の改正により、今まで配偶者の健康保険の扶養に入るため130万円未満の収入で抑える働き方をしていた人たちも、再考しなければならないことが出てくると思います。また、将来的には社会保険の対象範囲について、平成31年9月までにさらに検討を進めることが法律で決まっています。
平成28年10月からは、まず自分の働いている事業所が特定適用事業所なのか、さらに自分は今回の社会保険の適用拡大の対象に当てはまるのか当てはまらないのかを確認する必要がありますのでご注意ください。

詳しくは日本年金機構ホームページをご確認ください。