特定役員の退職金の2分の1課税廃止について

 平成24年度税制改正により、平成25年1月1日以降に支払われる、勤続年数が5年以下の役員等への退職金(特定役員退職手当等)について、2分の1課税が廃止されることになりました。この改正は、公務員の天下りを規制する目的で導入されたものですが、一般企業の役員にも該当することになりますので注意が必要です。

 退職金は、一般的に長期間にわたる勤務の対価を一時にまとめて受取るものであること、また退職後の生活保障を担うものであること等の理由により、所得税法上、給料・報酬とは異なる性質を有する所得(退職所得)として取り扱われています。
退職所得の金額は、次のように計算します。
(収入金額(源泉徴収される前の金額)−退職所得控除額)×1/2=退職所得の金額

改正後では、役員等勤続年数が5年以下である人が支払いを受ける退職金のうち、その役員等勤続年数に対応する退職金として支払を受けるものについては、次のように計算します。
(収入金額(源泉徴収される前の金額)−退職所得控除額)=退職所得の金額

上記のように、2分の1ができなくなるため、退職所得の金額が高くなり、増税となります。

 退職所得控除額は、退職者の勤続年数をもとに計算され、勤続年数20年までは1年当たり40万円、20年を超える勤続年数に関しては1年当たり70万円として計算します。
退職所得控除額は、次のように計算します。
勤続年数(=A)とした場合、
20年以下の場合 → 40万円×A (80万円に満たない場合には、80万円)
20年超の場合  → 800万円+70万円×(A−20年)
勤続年数の期間は、原則として、退職金の支払者の下で退職の日まで引き続き勤務した期間です。長期の欠勤や病気での休職の期間も、勤続年数に含めます。勤続年数の期間に1年に満たない端数があるときは、1年に切り上げます。

また上記とは別に、地方税法についても改正され、退職所得に係る住民税の計算上、従来認められていた退職所得の金額の10%相当額の税額控除が、平成25年1月1日以降廃止されます。これは特定役員とは関係なく、退職所得の金額がある人に対して全員が対象となります。
そのため、勤続年数が5年以下の役員が受取る退職金に関しては、大幅に増税されることになります。

詳しくは、こちら『特定役員退職手当等Q&A(国税庁)』を参照ください。