今月の大ちゃんニュース

2017年

 12月になりました。
師走という言葉の通り、ここから忙しくなる方も多いのではないでしょうか。
良い年末年始を迎えられるよう、2017年残り1月頑張っていきましょう。
さて、今月の大ちゃんニュースのテーマは仮想通貨と税金のお話です。
巷で話題となっているビットコインをはじめとする仮想通貨。
日本は仮想通貨の法整備が進んでいる国でもあります。
では仮想通貨を持っているとどのようなタイミングで課税されるのでしょうか?
今月もわかりやすく解説して参りましょう。

◆そもそもビットコインとは何か
 仮想通貨の一種です。
他にもイーサリアム、リスク、リップル、ライトコイン…といった様々な仮想通貨がありますが、ビットコインが仮想通貨のなかでは普及率が現在最も高い状況です。
仮想通貨といわれてもピンと来ない方もいらっしゃると思うので、イメージの付きやすいものを例に挙げると、オンラインゲームなどの中で利用される「◯◯コイン」と言われるようなものです。
円やドルとこれを交換することで、ゲーム内のアイテムを購入することができます。
これと同様にビットコインも円やドルと交換して利用することで実際に商品を購入す
ることができます。
因みに今現在ビットコインが支払いに使えるお店は以下の通り。
https://jpbitcoin.com/shops
これからもっともっと増えていくことでしょう。

◆今なぜ仮想通貨に注目が集まっているのか
 @ビットコインのメリット
  ・24時間365日取引ができる
   →土日など取引ができなくなる株式やFXなどとは違い、いつでも取引が可能です
  ・少額から取引ができる
  ・送金等の自由度が高い
   →容易に送金ができ、手数料が少額であることが特徴です
 Aビットコインのデメリット
  ・投機的な側面があること
   →色々な要素に左右され、暴騰・暴落を繰り返すため、長期的な投資には向かないという考え方もあります
  ・価値の補償がないこと
   →価値が暴落したり、PCがハッキングされることでビットコインが盗まれたり、悪質な取引所にビットコインを持
   ち逃げされるようなことがあっても、誰も補償してくれません。全て自己責任の世界です

◆仮想通貨の入手方法
   仮想通貨の入手方法には主に2種類あります。
 @円やドルとの交換 
 →仮想通貨の取引所で円やドルと交換して仮想通貨を購入します。
 A採掘(マイニング)
 →例えばビットコインは、その性質上、全ての取引情報を取引台帳に記録する(ブロックチェーン技術といいます。)の
 ですがそれには莫大な計算量が必要になります。そのため、その計算処理に協力(投資)をすることで、報酬としてビッ
 トコインを受け取ることができます。

◆仮想通貨と税金について
   さて、ここからがいよいよ本題です。
 @所得税法上の取扱い
   ビットコインなどの仮想通貨に関する所得の計算方法について説明します。
  仮想通貨を売却した場合、取得額との差額が所得と見なされ、「雑所得」として課税対象になります。
  また、ビットコインを使用することにより生じる利益も同様です。
  具体例を挙げてみましょう。

 【具体例】0.1BTCを20万円で購入して、0.1BTCが25万円になったときに家電量販店で25万円のPCを購入した場合(BTC…ビットコインの単位)



   これはつまり、一度円に換金してそのお金で商品を買ったのと同じ状態ですので利益の5万円部分が課税対象となりま
   す。
   反対に、仮想通貨取引で損失が出た場合には給与所得など他の所得と損益通算はできませんので注意が必要です。(雑所得内での損益通算は可能。)
   ただし、年末調整済みの給与所得を有する方で、仮想通貨の売却又は使用による所得が 20万円以下の方については、その他に所得がない場合、確定申告は不要です。
 A相続税法上の取扱い
   仮想通貨に相続税がかかるのか、という部分についてはいろいろな議論がありますが、現在のところ国税庁から相続
   税の仮想通貨に関する具体的な取扱いは発表されておりません。
   しかし、2016年2月に金融庁がビットコインに貨幣機能があるとの見解を示したため、今後ビットコイン所有者が死
   亡した場合、相続税の課税対象となる可能性は高いと思われます。相続税は死亡した者の死亡時点(課税時期)の財
   産価値に対して課税を行うため、仮想通貨においても死亡時点における価値でもって相続財産と捉えるというのが妥
   当な取扱いとなるのではないでしょうか。

◆最後に
  仮想通貨についてはまだまだ発展途上な部分もあり、現時点ではその取扱いについてわからない部分も多い部分もあり
 ます。
 引き続き、税法の取扱いについて新たな動きがあれば随時更新して参りますので、乞うご期待!
 ただし、くれぐれも仮想通貨への投資は自己責任でお願い致します。

【参考】国税庁 仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)

 今年も早いもので、もう10月ですね。
過ごしやすくなってきましたが、気温の寒暖差が激しい時期でもありますので体調管理には気を付けたいところですね。
 さて、今月の大ちゃんニュースのテーマは「広大地評価の廃止と地積規模の大きな宅地の評価の新設」についてです。
皆さんの周りで大きな宅地を所有している方はいらっしゃいませんか?
ほっておいてしまうと来年以降多額の相続税、贈与税がかかることになるかも!?
該当する人は早めの対策が必要となります。
そもそも広大地って何?という部分も含めて、詳しく解説していきましょう!

◆改正のポイント
 広大地の詳細な定義などについては後述するとして、まずは改正のポイントについてお話していきましょう。
改正の大きなポイントは以下の2点です。
 @今まで曖昧だった『広大地の定義』の明確化(注1)
 A広大地の評価方法の変更(注2)
もう少しポイントを掘り下げていきますと…
(注1)広大地に該当するかどうかの判断はとても曖昧なものがあり、申告を行う納税者にとっても課税庁側にとっても統一的な判断を行うのが困難な部分があった為、統一的なルールを設けよう!というものです。
(注2)現行の広大地評価はその面積に応じて比例的に減額する評価方法を採用しており、土地の形状・面積などの実態に応じた評価が出来ていなかった点や富裕層の節税対策に利用されている事例もあった点から土地の実態に即した評価が出来るように改正が行われることとなったようです。
上記のポイントをふまえ、現行の広大地評価を廃止するとともに新しく『地積規模の大きな宅地の評価』を新設することとなりました。

◆いつから改正される?
 平成30年1月1日以降に相続、遺贈又は贈与により取得した宅地について適用されることになります。

◆具体的な改正内容について

※上の算式中の「B」及び「C」は、地積規模の大きな宅地が所在する地域に応じそれぞれ次に掲げる表のとおりとする。


◆具体例


◆改正によるメリットとデメリット
メリット
「広大地の評価」から「地積規模の大きな宅地の評価」への改正により要件が明確化したこと。また、今まで広大地評価が適用できなかったマンション適地でも面積が500u(三大都市圏以外1,000u)以上で容積率400%(東京都特別区300%)未満の土地であれば、地積規模の大きな宅地の評価が適用できるようになりました。
デメリット
適用できる地区区分が普通商業・併用住宅地区、普通住宅地区に限定されることにより広大地評価の対象となっていた宅地の範囲が狭くなってしまったこと。また、広大地補正率と規模格差補正率を比較すると、規模格差補正率の方が低いため減額できる金額も少なくなり、土地評価額は高くなってしまうことなどがあげられるでしょう。

◆最後に
 具体例の宅地では評価額が実に3,600万ほどアップする結果となりました。
この改正をふまえて今すでに相続対策を行っている方についても新たに対策を練り直す必要があったり、まだ対策を行っていない方についてはしっかりとした対策が必要となってくるかもしれません。
相続に関するご質問やご相談などについては中嶌会計事務所までお気軽にお問い合わせください!


8月になり、厳しい暑さが続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか?
さて、今月の大ちゃんニュースのテーマは「タワーマンションの固定資産税の課税の見直し(以下、タワマン課税)」についてです。
最近新聞でもよく話題になっており、関心を持たれている方も多いかもしれません。
そこで、タワマン課税ってどういう内容?なぜ規制がかかろうとしているの?という事を簡単にお話しさせていただきます。

◆タワーマンション(注)を使った相続税対策
タワーマンションが好んで購入されたのは、富裕層の方々の相続税対策として使い勝手が良かったからです。具体的な相続税対策について触れるとともに、タワマン課税の問題点についてお話します。
(注) 区分所有家屋のうち、高さが60メートルを超える建築物(建築基準法第20条第1項第1号に規定する建築物)であって、複数の階に人の居住の用に供する専有部分を有するものをいいます。

これまでのタワマン課税の問題点
タワーマンションを取り巻く諸問題は、主に次の2点が挙げられます。

1.固定資産税や不動産取得税が、1階と最上階で同じ
タワーマンションの購入価格は、同じ間取りの場合でも階数が上がるほど価格も上がるのが通例で、その売りの一つは眺望です。階数が増える毎に部屋からの見晴らしが良くなります。また、美しい景色を望める方角は同じ階数でも高くなり、イマイチな景色の方角は安くなります。
そのため、階数や方角で購入価格が異なるのは仕方のないことですよね。
ところが、固定資産税や不動産取得税はそうではないのです。
同じ間取り、同じ床面積ならば、1階でも50階でも、北向きでも南向きでも、素晴らしい景色が見えようが隣のマンションの壁が見えようが、掛かる税金は全くの同額、1円も違いません。
固定資産税や不動産取得税は、固定資産税評価額に税率を乗じて計算しますが、タワーマンションの固定資産税評価額は、タワーマンション全体の建築コストを床面積で各部屋に割り振ったもので、階数や方角は一切加味していません。
そのため、固定資産税や不動産取得税は購入価格と全く比例しない税額となってしまうわけです。

2.富裕層の相続税対策に利用されやすい
先程登場した固定資産税評価額は購入価格の3割〜6割程度になります。
具体的には次のようなイメージ(固定資産税評価額は推定)です。


この固定資産税評価額は、固定資産税等の税金の計算に使われるだけでなく、相続税や贈与税の計算にも利用されています。
例えば、現金2億円を所有する資産家の方が、何もせずに亡くなった場合は、現金2億円に対して相続税が課税されます。
一方で、現金2億円のうち1億円でタワーマンションを購入した方だと、現金1億円+タワーマンション3千万円=1億3千万円に対して相続税が課税されます。
つまり相続税の計算上は、財産を7千万円圧縮できたことになるわけです。

この仕組みはタワーマンションに限った話ではなく、建物全般に共通する仕組みなのですが、タワーマンションは購入後にあまり値段が下がらず、むしろ上がる傾向もあった事や、換金が比較的容易である事から、富裕層の方々の相続税対策として好まれていたようです。

◆平成29年度税制改正
前置きが長くなりましたが、平成29年度税制改正では、前述の問題点のうち固定資産税についての部分が改正されています。
この改正により同じ床面積でも、階数によって固定資産税が変動することとなります。但し、タワーマンション全体での総和は変わりませんので、低層階で安くなった分を高層階で引き受ける形になります。また、方角は考慮されていません。
具体的には、1階を100%とすると、20階で約105%、40階で約110%、というように階数が増える毎に負担割合が上がっていきます。
例えば、改正前の固定資産税が一部屋あたり年間20万円の50階建タワーマンションとすると、改正後は1階で約18万8千円、20階で約19万7千円、50階で約21万2千円となります。

改正は平成30年度から固定資産税が課税されるタワーマンションが対象
上記の改正は、平成30年度から固定資産税が課税されることとなるタワーマンション(ただし、平成29年4月1日前に売買契約が締結された住戸を含むものを除く)について適用されます。
固定資産税はその年1月1日現在で表示登記されているものが対象のため、平成30年1月1日以後に売買契約・表示登記されたものに加え、次の二つの条件を満たす新築のタワーマンションも新ルールの対象です。
・そのタワーマンションの部屋全てが、平成29年4月1日以降に売買契約されたもの
・平成29年12月末までに建物の表示登記がされたもの

既にタワーマンションを所有している方はもちろん、そのタワーマンションのいずれかの部屋が平成29年3月31日までに売買契約されているものや、中古タワーマンションは新ルールの対象外です。

実際の裁決では・・・
タワーマンションを利用した相続税対策についての税務署の目線がかなり厳しくなっているのが実情です。

国税不服審判所によれば平成23年7月1日に以下のような裁決がされています。
【概要】
・平成19年8月にタワーマンションを2億9300万円で購入
・平成19年9月に被相続人死亡
・平成20年7月にタワーマンションを相続した相続人が2億8500万円で売却
・タワーマンションの購入時と売却時の価値はほぼ同等である
【納税者の主張】
相続人は相続したタワーマンションにつき財産評価基本通達(※)に基づき財産評価をし、土地建物合わせて5800万円を相続財産として申告した。
【国税当局の主張】
財産評価基本通達で評価した5800万円ではなく、タワーマンションの購入価額である2億9300万円で申告すべきであると主張した。
【裁決】
タワーマンションは取得価額である2億9300万円で評価するのが相当であると判断した。
(※)相続税・贈与税の計算にあたり、財産を評価する方法として国が定めた一定の基準のこと


裁決の理由をまとめてみます。
財産評価基本通達はあくまでも財産を評価する際の形式的な基準であり、この通達による評価が妥当ではない場合には他の合理的な方法により評価することになります。
上記事例においては、仮にタワーマンションを購入せず購入資金がそのまま相続財産となった場合には、その購入資金2億9300万円がそのまま相続財産として申告されることとなります。
この購入資金をタワーマンションに充てることで財産評価額を2億3500万円減らすことができましたが、相続開始後短期的にタワーマンションを売却したことを踏まえると、相続税を節税するためにタワーマンションを購入したものと考えられます。
したがって、短期的かつ一時的に財産の所有形態がタワーマンションになったに過ぎないものについて財産評価基本通達により評価することは、この通達による評価が妥当でないと認められたようです。
この場合の他の合理的な方法とは、
・タワーマンションの取得日と相続開始日が近いこと
・購入時と売却時の時価はほぼ同等であること
を踏まえると取得時の時価2億9300万円で評価することが相当であるという国税当局の主張が通った形となりました。

このように相続税対策が税務調査でひっくり返された事例もありますので、相続税対策には注意が必要です。相続税対策をお考えの方は、お気軽に中嶌会計事務所までご相談ください。

 6月になりました。すっきりとした5月とは打って変わって、蒸し暑い日が多くなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。
さて、今月の大ちゃんニュースのテーマは「配偶者控除の見直しについて」。
所得税に関係する論点ですので、気になっていた人も多いはず。
今月も「わかりやすく」を目標に解説して参ります!

◆配偶者控除とは
 そもそも、配偶者控除ってどんな制度なのでしょうか?
簡単に言うと、控除の対象となる配偶者(例えば、妻)がいる場合にその夫(納税者本人)の所得から38万円控除しますよ。という制度です。

控除対象配偶者とは
控除対象配偶者とは、その年の12月31日の現況で、次の四つの要件の全てに当てはまる人です。
(1) 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)。←正式な婚姻関係がないとダメ。
(2) 納税者と生計を一にしていること。←夫と生計を別にする妻は該当しません。
(3) 年間の合計所得金額が38万円以下であること。
 (給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
(4) 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。←例えば個人事業主である夫などから給料を受けている妻は対象とはなりません。

合計所得?給与収入?
 少しややこしそうな用語ですが、解説していきましょう。
所得税の計算に当たっては「収入から必要経費を差し引いた金額が所得」となります。

〈具体例〉(上記の(3)以外の要件はすべて満たしているものとします。)
給与による収入が年間100万円の人(妻)がいるとします。
この場合の妻の所得の計算は、
100万円(収入)−65万円(必要経費※)=35万円(合計所得金額)≦38万円
となり、世帯主(納税者本人である夫)の所得から38万円の控除(配偶者控除)ができます。
(※)この65万円の控除は、「給与所得控除」という規定によるもので、給与収入ごとに控除できる金額が一律に決まっているものとなります。(下記参照)
今回の具体例では100万円(収入金額)×40%=40万円となり65万円に満たないため、65万円が控除できることとなります。

(参考)平成29年分給与所得控除


因みに…
「年間収入103万円までなら税金がかからない」とよく言われますが、実は103万円とはこの給与所得控除の65万円と所得税の基礎控除(この金額までは課税しません、という金額。)の38万円の合計なんですね。

◆もう一つの配偶者控除、「配偶者特別控除」
 じつは、配偶者控除にはもう一つ「配偶者特別控除」という規定があります。
この規定は配偶者控除の38万円の控除が受けられない場合においても、配偶者の収入金額に応じて、控除を受けることができるという規定です。
配偶者控除との大きな違いは配偶者控除が定額の控除(現行)であるのに対し、配偶者特別控除が所得に応じて控除額が変動する、段階的な控除制度であるということです。

◆具体的な改正ポイント
配偶者控除の改正
配偶者控除の額が下記図2のように改正され、合計所得金額が1,000万円(給与収入1,220万円)を超える居住者については配偶者控除の適用が受けられないこととなりました。

配偶者特別控除の改正
今までは配偶者控除の控除額38万円の満額を受けるためには配偶者の年収が103万円以下でなければならなかったところ、配偶者特別控除の額が下記図2のように改正され、配偶者の年収が150万円以下であれば配偶者特別控除として38万円の控除枠が使えることとなりました。

適用時期
平成30年分以後の所得税について適用されることとなります。
従って、本年分は今まで通りです。

図1

 右に伸びた矢印が改正で年収要件が拡大された部分となります。
濃いオレンジ色のところをご覧頂ければ配偶者の給与収入が150万円以下の場合には配偶者特別控除によって38万円の控除額がカバーされていることがおわかり頂けるでしょうか。
 また、配偶者特別控除の年収要件も全体的に拡大されていますね!

図2

現行の制度では配偶者控除は控除対象配偶者の要件を満たす限り、一律38万円の控除を受けることができていましたが、納税者本人の年収に応じて使える控除枠が変わることとなりました。
 また、合計所得金額が1,000万円を超える場合には配偶者特別控除だけでなく、配偶者控除の適用も受けられないこととなりました。


◆最後に
 いかがだったでしょうか?
配偶者控除の制度は歴史が古く、創設されたのは昭和36年となります。現行の配偶者控除は専業主婦を前提とした制度であり、女性の社会進出が近年の社会情勢に対応する形で改正が入ることとなったという背景があるようですね。
このことにより、パートさんや主婦の方が今までより働きやすい環境が整備されていくかもしれませんね。
 ただし、施行にあたっては課題もあるようです。

配偶者手当の見直し
企業の多くが、配偶者控除の適用基準103万円を基準に社員に対して配偶者手当を支給しています。この手当の方が所得税の負担が下がった分よりも大きい世帯も比較的多い、という問題です。控除の金額には階段式の金額が設定されていますが、企業の場合、配偶者の年収が103万円を超えた時点で手当がなくなるケースが多いと思われます。

社会保険料の問題
企業の配偶者手当とは別に配偶者の社会保険料(年金と健康保険)の負担の問題があります。勤務する企業の規模によって配偶者の年収が「106万円」もしくは「130万円」を超えると社会保険料を負担することになるのです。

税制改正の目的を考えた場合、これらを含めてさらなる改革が必要となるでしょう。
改正が入るのは平成30年分以後の申告となりますのでまだ先の話となりますが、具体的にいくら控除を受けられるのかなど気になる方は中嶌会計までお気軽にお問い合わせください。

 今回のテーマは非上場株式(取引相場の無い株式)の評価の改正論点についてです。
平成29年1月1日より、非上場株式の評価方法に改正のメスが入りました。
この改正によりあなたの会社の株が安くなる?高くなる?
事業承継をお考えの社長さん、相続税・贈与税対策は万全ですか?
是非この機会に見直しを!

◆非上場株式の評価方法
 非上場株式は上場株式に比べ、市場のような客観性がないことから、会社の規模に応じて「類似業種比準価額」と「純資産価額」を組み合わせて株価の計算を行うこととなっていますが、今回改正が入ったのは類似業種比準価額の計算方法です。
類似業種比準価額とは?
 →簡単に言うと、「上場している会社と比較して計算した株価」です。
  
 具体的な計算方法は、まず今評価しようとしている会社と同じ業種の上場株式の株価(A)をベースとし、そこに上場株式との配当(B)・利益(C)・純資産(D)の比較割合を乗じて計算します。
 
類似業種比準価額の計算のイメージ(※金額・数値は仮定のものとする。)
〈類似業種の上場会社(X社)〉
A(株価)…500円
B(配当)…10
C(利益)…20
D(純資産)…40

〈評価したい非上場会社(Y社)〉
株価…?円
b(配当)…5
c(利益)…10  
d(純資産)…20 
 
 今、株の評価をしたい非上場会社をY社とし、そのY社と類似業種の上場会社をX社とします。
Y社の株式を評価するにはX社の株価(500円)をベースとし、配当・利益・純資産の比較割合を乗じて計算します。
ここで、X社とY社の配当・利益・純資産の要素を見比べてみてください。
Y社の配当・利益・純資産の要素はX社の要素のちょうど半分(比較割合50%)ですね!
従って、Y社の株価は「500円×比較割合50%=250円」
これがざっくりとした評価のイメージです。

類似業種比準価額の算式
 少し踏み込んで行きましょう!
類似業種比準価額の算定について、具体的にどんな算式を組むかというと…

となります。

因みに先ほどの例で用いたアルファベットが算式のアルファベットと対応しているので、算式に入れてみると…

というような具合です。複雑ですよね。。。

 まとめると、( )書きの算式が上場会社との比較割合を算出する部分で、今回の例では比較割合がちょうど50%となるため、上場会社の類似業種の株価(500円)の半分(250円)になった。というわけです。

 お待たせいたしました。
ここまで話してやっと改正の話ができるのですが、改正が入った所はズバリ!先ほどの算式のA(株価)の部分と比較割合の算式なのです。
◆改正論点@
 まずはA(株価)の部分からいきましょう。
Aは上場会社の類似業種の株価ですが、改正による変更点は以下の通りです。
〈H28.12/31までの相続・贈与〉
・課税時期の属する月以前3ヶ月間の各月の類似業種の株価のうち最も低いもの
・類似業種の前年平均株価
→上記のうちいずれか少ない金額
〈H29.1/1以降の相続・贈与〉
・課税時期の属する月以前3ヶ月間の各月の類似業種の株価のうち最も低いもの
・類似業種の前年平均株価
・課税時期の属する月以前2年間平均
→上記のうちいずれか少ない金額
このことにより、類似業種の株価が短期間に高騰するようなことがあっても、より平準化した株価を選択できるようになりました。

◆改正論点A
 そして改正論点の二つ目は先ほどの比較割合の算式です。
どこがどう変わったのでしょうか?
まずは先ほどの改正前の比較割合の算式をご覧頂きたいのですが、よくよく算式の分子を眺めてみると、Cの要素(利益)の部分だけ3倍されていますよね。
これはなぜかというと、「会社の株価の算定に当たってはその会社の利益(もうけ)が多分に影響しているはずだ。だから重要性の高いC(利益)の要素については他の要素よりも3倍のウエイトをかけよう!」というわけなんですね。
従って改正前の各要素の割合はB(配当)が@、C(利益)がB、D(純資産)が@となり、1:3:1(合計の5が分母)となっていました。
ところが、今回の改正により平成29年1月1日以降、各要素のウエイトが見直され、B(配当)が@、C(利益)が@、D(純資産)が@となり、1:1:1(分母は3)に変更となりました。


イメージ的には利益の要素が減った分、株価が安くなるような感覚ですね。
改正の背景としては好業績企業の負担を軽くしようという狙いがあるそうですが、利益の金額によっては逆に株価が上がってしまうこともあるようなので、気になる方は株価の試算をご依頼頂ければと思います。

◆最後に
 今回は非常にマニアックな内容になってしまってすみません!
しかし、事業承継等をお考えの方については、非上場株式とはいえその価額は非常に多額となり、相続税・贈与税の対策は必須です!
この他にも改正された論点などもありますので、気になる方は中嶌会計まで是非お気軽にお問い合わせくださいね!

今回のテーマはセルフメディケーション税制についてです。
ニュースや新聞などで目にしたことがある方もおられるかと思いますが、認知度はまだまだ低いようです。
うまく活用できれば、あなたの税金が安くなるかも!?
正しい知識を身に付け、得しちゃいましょう!

◆セルフメディケーション税制ってどんな制度?
 本題に入る前に唐突ですが、皆さんは医療費控除ってご存知でしょうか?

医療費控除とは
 自分や家族のために支払った医療費等の実質負担額が、年間10万円(所得金額が200万円未満の人は「所得金額×5%」の額。)を超えた場合、その超えた金額をその年の所得から差し引くことができる規定。 控除できる金額の上限は200万円。 ただし、保険金などで補てんされた場合はその金額を差し引かなければいけません。(※未払い医療費は含まない。)


これは知っている人がほとんどかと思います。
確定申告をされる方は、ちゃんと医療費の領収書などを保管されていますよね。
今回のメインテーマであるセルフメディケーション税制はこの医療費控除の「特例」として位置づけられる制度なのです。


セルフメディケーション税制とは
 健康の維持増進・疾病の予防として一定の取り組みを行う個人(※1)が、控除対象となる年(※2)に自分や家族のために購入したOTC医薬品の対価の額の合計が12,000円を超えるときは、その超える部分の金額(88,000円を限度とする。)を総所得金額から控除することができる制度。
(※1)・所得税、住民税を納めていること
    ・1年間の間に申告者が健康診断や予防接種などを行っていること
(※2)・平成29年1月1日〜平成33年12月31日(延長される可能性があります。)


 医療費控除は、大きなケガや病気、妊娠出産や歯科医療で多額の治療費を支払った時くらいでなければ医療費が年間10万円を超えることがないので、普段なかなか病院に行かない人には受ける機会が少ない制度でした。
これに対して、セルフメディケーション税制は普段あまり病院などには行かず薬局で薬を買って自分で治療している、という人に所得控除を受けられるようにした制度です。
因みに、
従来の医療費控除とセルフメディケーション税制の関係を図解で表すと、こんな感じ。





つまり、従来の医療費控除の範囲に加えて、新しくセルフメディケーション税制として医療費控除ができるようになりましたよ!というものです。
※OTC医薬品とは
 →英語の「Over The Counter」の頭文字をとった言葉で、厚生労働省が定めた特定成分を含んだ医薬品のことです。

◆施行日はいつ?いつから受けられるの?
 施行日は2017年(平成29年)1月1日です。
 従って、来年の確定申告(平成30年3月15日期限)において適用を受けることになります。

◆セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)の受け方





◆OTC医薬品ってどこでわかるのか?


 


 対象となる医薬品には原則平成29年1月1日以後このマークがついていますが、昨年の在庫が店頭に並んでいる場合等にはマークがついていないことも考えられます。
 その時は、店員さんに確認してもらいましょう。
 また、領収書にもセルフメディケーション税制の対象商品である旨が記載されるようなので、領収書は大切に保管しておいてくださいね。

◆医療費控除との併用はできるの?
 残念ながらできません。
 従って、医療費の領収書とセルフメディケーション税制の領収書はどちらも保管しておき、有利な方で所得控除を受ける!というのがおススメです。

◆具体的にどんな医薬品が対象になるの?
 アレグラ・アレジオン→花粉症の人にとっては朗報です!
 ベンザブロック(銀・青)→黄色のベンザは対象外です笑
バファリン・メンソレータムなどなど。
もっと詳しく知りたい方は、こちら

◆最後に
いかがだったでしょうか。
難しそうな名前ではありますが、それで税金の負担が少しでも軽くなるなら使わない手はないですね。
薬局に行った際は薬のパッケージを見て、セルフメディケーション税制のマークを探してみましょう!
セルフメディケーション税制について詳しく知りたい方は、、厚生労働省のページをご確認ください。

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