今月の大ちゃんニュース

2012年

復興増税について

 平成23年12月2日に東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(平成23年法律第117号)が公布され、『復興特別所得税』及び『復興特別法人税』が創設されました。『復興特別所得税』については、平成25年から平成49年までの各年分の基準所得税額に2.1%を、『復興特別法人税』については、平成24年4月1日以後に開始する事業年度から3年間の各事業年度分の基準法人税額に10%の税率を乗じて計算した税額を所得税・法人税と同じ時期に申告・納付することとされています。また、個人の住民税においては平成26年6月から徴収される税額について、平成35年までの10年間、均等割が1,000円引き上げられます。
まず、復興特別所得税について、復興特別所得税の課税対象となるのは一部を除く居住者の場合、すべての所得に対する所得税額(非居住者においては国内源泉所得に対する所得税額)となっており、所得税の申告とあわせて申告することとなります。
 また、給与所得等に係る源泉徴収においても、所得税の源泉徴収に併せて源泉徴収すべき所得税額の2.1%の復興特別所得税を徴収することとなるため、『平成25年分源泉徴収税額表(国税庁HP)』に基づいて徴収しなければなりません。税理士等の報酬等に対してもこれまでの10%の源泉徴収とあわせて2.1%の復興特別所得税を徴収することとなるため注意が必要となります。
 復興特別法人税においては、復興特別法人税の課税標準法人税額は、一定の場合を除き、各課税事業年度の基準法人税額とされており、法人税申告書別表一(一)を使用する法人の場合、その基準法人税額は『別表一(一)「2」』欄−別表一(一)「3」欄+別表一(一)「5」欄』で計算された金額となり、もし、赤字等により基準法人税額がない場合は、復興特別法人税は課税されず、また復興特別法人税申告書を提出する必要はありません。
 また、預金利息等に対して源泉徴収された復興特別所得税の額は、復興特別法人税の額から控除することとされていますが、控除しきれない復興特別所得税の額がある場合には、復興特別法人税申告書を提出することにより、還付を受けることができます。
その他復興増税についてのあらましについて、復興特別所得税について『個人の方に係る復興特別所得税のあらまし(国税庁)』、復興特別法人税については『復興特別法人税のあらまし(国税庁HP)』でご確認ください。

年末調整・本年の変更点について

 今年も年末にさしかかり、年末調整の時期が近づいてきました。そこで年末調整の変更点についてお知らせしたいと思います。
 そもそも『年末調整とは何か?』ですが、年末調整とは給与の支払者によって源泉徴収された1年間の合計額とその年の給与総額について納めなければならない税額(年税額)の調整を行うことをいいます。また、年末調整の対象となる人は1年を通じて勤務している人や年の途中で就職し、年末まで勤務している人等ですが本年中の主たる給与の収入金額が2,000万円を超える人や2か所以上から給与の支払を受けている人で、他の給与の支払者に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人や、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を年末調整を行うときまでに提出していない人は対象になりません。一の勤務先から受ける給与以外に所得がないか、給与以外の所得があってもその額が少額であるという人は、年末調整を行い、税額の精算が済んでしまうと確定申告等の手続きを行う必要がなくなるので、年末調整は非常に便利な手続きといえます。
 さて、本年の変更点についてですが、以下のようなものがあります。
・生命保険料控除が改組され、各保険料控除の合計摘要限度額が12万円とされました。

平成24年1月1日以後に生命保険会社及び損害保険会社等と締結した保険契約等(以下「新契約」といいます。)のうち介護(費用)保障又は医療(費用)を内容とする主契約又は特約に基づいて支払った保険料等(以下「介護医療保険料」といいます。)について、適用限度額4万円として介護医療保険料控除を受けることができるようになりました。また、新契約に係る一般生命保険料控除及び個人年金保険料控除については適用限度額がそれぞれ4万円とされ、控除額の計算は以下のとおりとされました。
別表@新契約に係る控除額計算表

 平成23年12月31日以前に生命保険会社又は損害保険会社等と締結した保険契約等(以下「旧契約」といいます。)については従前の一般保険料控除及び個人年金保険料控除が適用され、適用限度額が5万円となります。
別表A旧契約に係る控除額計算表

 新契約に基づく保険料等と旧契約に基づく保険料等の両方の支払について一般生命保険料控除又は個人年金保険料控除の適用を受ける場合の控除額は、新契約に基づいて支払った保険料等につき、別表@の計算式により計算した金額と旧契約に基づいて支払った保険料等につき、別紙Aの計算式により計算した金額との合計額(上限4万円)とされました。
 
その他、納期の特例を受けている源泉徴収義務者の納期限の一部変更や自動車等の交通用具を使用して通勤する人が受ける通勤手当の非課税限度額の変更があり、年末調整事務を担当する方は国税庁のホームページ『平成24年分年末調整がよくわかるページ』等によりもう一度確認をされるとよいでしょう。

特定役員の退職金の2分の1課税廃止について

 平成24年度税制改正により、平成25年1月1日以降に支払われる、勤続年数が5年以下の役員等への退職金(特定役員退職手当等)について、2分の1課税が廃止されることになりました。この改正は、公務員の天下りを規制する目的で導入されたものですが、一般企業の役員にも該当することになりますので注意が必要です。

 退職金は、一般的に長期間にわたる勤務の対価を一時にまとめて受取るものであること、また退職後の生活保障を担うものであること等の理由により、所得税法上、給料・報酬とは異なる性質を有する所得(退職所得)として取り扱われています。
退職所得の金額は、次のように計算します。
(収入金額(源泉徴収される前の金額)−退職所得控除額)×1/2=退職所得の金額

改正後では、役員等勤続年数が5年以下である人が支払いを受ける退職金のうち、その役員等勤続年数に対応する退職金として支払を受けるものについては、次のように計算します。
(収入金額(源泉徴収される前の金額)−退職所得控除額)=退職所得の金額

上記のように、2分の1ができなくなるため、退職所得の金額が高くなり、増税となります。

 退職所得控除額は、退職者の勤続年数をもとに計算され、勤続年数20年までは1年当たり40万円、20年を超える勤続年数に関しては1年当たり70万円として計算します。
退職所得控除額は、次のように計算します。
勤続年数(=A)とした場合、
20年以下の場合 → 40万円×A (80万円に満たない場合には、80万円)
20年超の場合  → 800万円+70万円×(A−20年)
勤続年数の期間は、原則として、退職金の支払者の下で退職の日まで引き続き勤務した期間です。長期の欠勤や病気での休職の期間も、勤続年数に含めます。勤続年数の期間に1年に満たない端数があるときは、1年に切り上げます。

また上記とは別に、地方税法についても改正され、退職所得に係る住民税の計算上、従来認められていた退職所得の金額の10%相当額の税額控除が、平成25年1月1日以降廃止されます。これは特定役員とは関係なく、退職所得の金額がある人に対して全員が対象となります。
そのため、勤続年数が5年以下の役員が受取る退職金に関しては、大幅に増税されることになります。

詳しくは、こちら『特定役員退職手当等Q&A(国税庁)』を参照ください。

エネルギー環境負荷低減推進税制(グリーン投資減税)について

平成23年税制改正により、省エネや再生エネルギーの利用促進に寄与する設備投資を税制面から後押しするグリーン投資減税が創設されました。
グリーン投資減税とは青色申告書を提出する法人又は個人が、平成23年6月30日から平成26年3月31日までの間に、エネルギー起源CO2排出削減または再生可能エネルギー導入拡大に相当程度の効果が見込まれる設備等の取得等をして、これを1年以内に国内にある事業の用に供した場合には、取得価格の30%の特別償却(中小企業者等については、取得価格の7%の税額控除との選択適用)ができる措置をいいます。
さらに平成24年税制改正により、平成24年5月29日からグリーン投資減税の対象設備(太陽光・風力発電設備)の定義が変わりました。
 これにより、平成24年5月29日から取得した太陽光発電設備と風力発電設備で所定の要件を満たせば、取得価額を初年度に100%即時償却が可能となりました。
具体的な所定の要件としては、グリーン投資減税の対象設備である太陽光発電設備と風力発電設備のうち、
@平成24年5月29日から平成25年3月31日までの間に設備を取得等をする 
A電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(再エネ特措法第3条第2項に規定する認定発電設備に該当するものに限る
Bその取得等した日から1年以内に事業の用に供した場合
であり、上記の既存のグリーン投資減税の内容に加え、事業の用に供した日を含む事業年度において、取得価格の全額を即時償却(100%を初年度に償却)することができるようになりました。

 
詳しくはこちら 『平成24年度税制改正に伴うエネルギー環境負荷低減推進税制(グリーン投資減税)の変更点 概要(資源エネルギー庁)』まで

法人の減価償却制度の改正について

平成23年12月改正により法人の減価償却制度に関する規定が改正されました。その規定は平成24年4月1日以後に終了する事業年度の法人税から適用され、平成24年4月1日以後に取得される減価償却資産の定率法の償却率について、定額法の償却率を2.5倍した償却率(以下、250%定率法といいます。)から定額法の償却率を2倍した償却率(以下、200%定率法といいます。)に引き下げられました。
また、定率法を採用している減価償却資産に資本的支出(追加償却資産)を行った場合において、その資本的支出を行った事業年度の翌事業年度開始の時において、その時における減価償却資産と追加償却資産の合計額を取得価額とする一の減価償却資産を新たに取得したものとするという特例について、今回の改正により平成24年3月31日以前に取得した減価償却資産と平成24年4月1日以後に取得した追加償却資産については償却率が異なるため、除外するなどの所要の措置が講じられました。
200%定率法による償却は、平成24年4月1日以後に取得される減価償却資産から適用されますが、そうすると平成24年4月1日以前に開始し、かつ、同日以後に終了する事業年度(以下、改正事業年度といいます。)において取得された減価償却資産が複数ある場合、その取得の日に応じて200%定率法と250%定率法のそれぞれの償却方法により償却を行う必要が生じます。
 そこで、改正事業年度においてその有する減価償却資産について定率法を選択している場合には、平成24年4月1日からその事業年度終了の日までの期間内に取得された減価償却資産については、その減価償却資産を平成24年3月31日以前に取得されたものとみなして、250%定率法により償却することができる特例が措置され、その特例を選択するに当たり所轄税務署長への届出等の手続きは不要となっています。
 上記とは反対に、平成19年4月1日から平成24年3月31日までの間に取得された減価償却資産について定率法を選択している場合において、平成24年4月1日の属する事業年度の確定申告書の提出期限までに届出書を提出することにより改正事業年度又は平成24年4月1日以後最初に開始する事業年度のいずれかの事業年度以後の各事業年度における償却限度額の計算について、その減価償却資産のすべてを平成24年4月1日以後に取得したものとみなして200%定率法により償却することができることとされました。
 定率法によって償却している減価償却資産について、各法人にあった償却率を検討する必要があると思います。

詳しくはこちら『平成23年12月改正 法人の減価償却制度の改正に関するQ&A(国税庁)』まで

消費税のいわゆる「95%ルール」の見直しについて

 昨年の平成23年6月に消費税法が改正され、いわゆる「95%ルール」の見直しがされました。平成24年4月1日以後に開始する課税期間から適用されるので注意が必要です。
簡易課税制度を選択せずに一般課税で消費税の申告を行う事業者のうち、当課税期間における課税売上割合が95%以上の事業者は、課税売上げに係る消費税額から、課税仕入れ等に係る消費税額の全額を控除することができることとされていました。しかし今回の改正では、平成24年4月1日以後に開始する課税期間から当課税期間における課税売上割合が95%以上かつ課税売上高が5億円以下の場合にのみ全額を控除することができることとされました。(消費税法30条A)
 したがって、当課税期間における課税売上高が5億円超の場合、又は、課税売上割合が95%未満の場合には、仕入控除税額の計算を個別対応方式若しくは一括比例配分方式のいずれかにより行うこととなります。
 当課税期間が1年に満たない場合には、当課税期間の課税売上高を当課税期間の月数で除し、これに12を乗じて算出した金額(年換算した金額)で判定します。


詳しくは、国税庁ホームページの95%ルールの適用要件の見直しを踏まえた仕入税額控除の計算方法等に関するQ&A『基本的な考え方編(国税庁・PDF)』『具体的事例編(国税庁・PDF)』をご参照下さい。

更正の請求期間の延長について

 更正の請求とは、申告書の提出期限後に記載内容に誤りがあることに気がつき、所得金額や税額などが実際より多く申告した場合に税務署に訂正を求めることができる制度です。
今まで更正の請求ができる期間は、法定の申告期限から1年以内とされていましたが、今回の23年度税制改正で更正の請求の期間を現行の1年から5年に延長し、更正の請求を認める範囲も拡大されました。
 
今まで法定申告期限より1年を過ぎてしまっても、職権での減額更正(税額を減らす訂正)を税務署長にお願いする「嘆願」という方法がありましたが、これは法的に確定した制度ではありませんので、必ず減額更正されるというものではありませんでした。
一方で、税務署が納税者に対し増額更正(税額を増やす訂正)ができる期間は3年とされており、「嘆願」という不透明な実務を解消することや、納税者の救済、課税のバランスを図るなどの観点から、更正の請求期間を5年に延長するとともに、税務署が増額更正できる期間も3年から5年に延長されました。
 この改正により、納税者による修正申告・更正の請求、税務署による増額更正・減額更正の期間制限がすべて一致することになりました。
なお、この改正は平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する国税について適用されます。

詳しくは『更生の請求期間の延長等について(国税庁)』

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