兄弟が同額ずつ仕送りしている両親の扶養控除について

 年末調整の時期となり、扶養控除等(異動)申告書を書いて会社に提出する方が多いと思います。先日お客様から別居していて兄弟が同額ずつ仕送りをしている両親を兄弟それぞれが扶養控除を受けられるのかとの質問をうけました。扶養控除などについての疑問をお持ちの方が多いと思いますので今回はその関連について説明いたします。

 まず、「扶養親族」とは、その年の12月31日の現況で、次の四つの要件のすべてに当てはまる人です。
(1) 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます。)又は都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。
(2) 納税者と生計を一にしていること。
(3) 年間の合計所得金額が38万円以下であること。
(4) 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。

 ですので、別居の親で扶養控除を受ける場合、上記(2)や(3)の要件を満たしているか確認する必要があります。
 また、両親の年齢が70歳以上であれば老人扶養親族に該当し、控除額が上がります。 所得税の計算をする場合の配偶者控除の額や扶養控除の額は、控除対象配偶者や扶養親族の年齢や特別障害者に該当するかによりこちらの表のようになります。

 また、仕送りについて生活費の範囲以内の金額かどうかによっては贈与税がかかる可能性がありますので注意が必要です。贈与税にあたらない場合は以下の要件に該当する場合です。
詳細は
『贈与税がかからない場合』
『扶養義務者からの生活費等関係』を参考にしてください。(ともに国税庁HPが開きます)

 兄弟で同額ずつ別居の両親に生活費を仕送りしている場合、兄弟のうちだれか1人だけが扶養控除の対象とすることができます。ただし、兄弟がそれぞれ重複して控除の対象とすることはできません。
 また、両親を兄弟で一人ずつ扶養控除にすることが可能なのかどうかについては以上のような仕送りが生活費の範囲内で扶養親族の要件に該当していれば問題ありません。